◆江崎道朗・山内智恵子『ミトロヒン文書。KGB(ソ連)・工作の近現代史』を読み解く

→江崎道朗・監修
→山内智恵子・著

★要旨


・ソ連の情報機関KGB出身であるプーチン大統領の政権には、
KGB時代の元同僚たちが起用され、
その人たちがさらに自分の仲間を連れてきたので、石を投げれば当たるというくらい、
KGB出身者が大勢います。


・本書は、
ロシア革命からソ連崩壊に至るソ連情報機関の対外工作を描き出す重要史料、
「ミトロヒン文書」をご紹介する本です。


・インテリジェンスが
国際政治にどのような影響を与えてきたかを
解明するのが情報史学という分野なのです。 
情報史学というのは、なんと奥深くて、
恐ろしくて、そして面白いのでしょう。


・ソ連崩壊からまだ間もない一九九二年三月のある日のこと、
バルト三国のひとつであるラトヴィアの首都、リガの英国大使館に一人の男性がやってきて、
「誰か権限のある人」との面会を求めました。


・男性の名前はワシリー・ミトロヒン、
一九八四年に退職するまで四半世紀あまり、
ソ連の情報機関KGBの海外諜報部門である第一総局で、
文書や情報の整理と管理を担当していた元KGB将校です。


・そしてケースの一番下に隠すようにして
英国大使館に持ち込まれたメモは、
ミトロヒンがKGB第一総局の機密文書から書き写したものでした。
二十世紀の最重要史料のひとつ、
「ミトロヒン文書」が西側にもたらされた瞬間です。


・リッツキドニーに続く第二の衝撃は、ヴェノナ文書の公開でした。 


・ヴェノナ文書とは、
第二次世界大戦前後の時期に
アメリカ国内のソ連工作員とモスクワの情報本部の間で交わされた
暗号通信の傍受・解読記録です。


・ヴェノナ文書とヴァシリエフ・ノートに並ぶ最重要一次史料が、
本書で紹介するミトロヒン文書です。 


・ミトロヒン文書とは、KGBの機密文書を、
KGBのアーキヴィスト(公文書および情報の保存と管理の専門家)で、
文書管理責任者でもあったワシリー・ミトロヒンが写し取ったものです。 


・ミトロヒン文書が重要である理由はいくつかあります。 
第一に、ミトロヒンが専門的な訓練を受けたアーキヴィストだったことです。


・第二に、
ミトロヒン文書がKGBの公文書の写しであるということ自体が非常に貴重です。


・さらに言うと、
ミトロヒンがKGBの公文書を大量に読んだということが、
稀有中の稀有、
奇跡としか言いようがないくらい稀なことなのです。


★コメント
喉から手が出るほど、面白い。
インテリジェンスに関する本において、
画期的な一冊である。
情報史のなかで、
新しい事柄がたくさん出ていて、おもしろ過ぎます。
諜報を志す方、諜報に興味がある方は、必読。


★江崎道朗・監修
山内智恵子・著
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