◆石橋文登『安倍晋三秘録』を読み解く

(副題。一強は続く)


★要旨


・「権力は虎なんだよ」
 安倍晋三が私に向かって唐突にこう言ったのは、
もう二十年近く前、まだ、首相の小泉純一郎の下で官房副長官をやっていたころだった。
どんな文脈でこの言葉が出てきたのかは覚えていない。


・「虎にまたがっているときは無敵だろ。
でも降りる時によくよく気をつけないと
食い殺されちゃう。
権力ってそういうもんなんだよ。
お隣の国なんか、
降りる度に毎回食い殺されちゃってるよね。ハハハ」


・政権のトップが自らの病状を克明に説明するのは極めて珍しい。
安倍晋三は
「任期をまだ一年残し、コロナ禍の中、
職を辞することになったことについて、
国民の皆様に心より心よりお詫び申し上げます」
と語り、演壇で深々と頭を下げた。

・その目にはうっすらと涙がにじんだ。 
誠意の伝わる記者会見だった。


・その後、記者たちが、労いの言葉一つかけることなく、
くだらない質問を続ける様子が延々とNHKで生中継されたこともあり、
安倍晋三の誠実さと潔さが一層印象づけられた。


・いずれにせよ、
安倍晋三は、権力という虎から鮮やかに降り立ってみせた。


・平成二十四(二〇一二)年十二月末、
首相に返り咲いて七年九カ月弱の間に、
安倍晋三はすっかり虎を飼い慣らしていたのだ。


・安倍晋三も大した役者だといえるが、
森喜朗が言うように、
最後まで迷い続けていたというのが妥当な見方ではないか。 


・だが、八月二十八日朝には、きっぱりと退陣の決意を固めていた。
午前九時五十七分に首相官邸に入ると、
女房役である官房長官の菅義偉に辞意を伝え、
閣議後に、盟友である副総理兼財務相の麻生太郎に退陣する考えを伝えた。


・午後二時には自民党本部を訪れ、
自民党幹事長の二階俊博にも退陣する考えを明かした。


・まさに電光石火の早業だった。
「安倍首相、辞任へ」というニュースは即座に世界中に配信され、
各国首脳を驚かせた。


★コメント
安倍政権の舞台裏と、
それに関する背景説明が分かりやすい。
やはり、出来事に関する意味を
理解するためには、
長い経験と取材力がモノをいう。


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