◆峯村健司『潜入中国。厳戒現場に迫った特派員の2000日』を読み解く
★要旨
・子どものころから、勘が働く方だ。
予知能力などという大層なものではないが、
これから起こりうる事を察知できることがしばしばあった。
・記者になってからも、
現場の聞き込み取材や事件の全体像を見通す「筋読み」をするときに大いに役立った。
こと悪い予感に関しては、よく当たった。
・悪い事が起こる前にはきまって、
何とも言えない独特な胸騒ぎがするからだ。
・2011年1月7日、
郊外にある小料理屋で、
私は冷え切った体を温めようと唐辛子と山椒が利いた四川料理を食べ、
度数52度の白酒をあおっていた。
・中国軍が開発を進めている次世代ステルス戦闘機「殲20」の撮影に成功し、
世界に先駆けてその姿を報じることができた。
・気分が良くなったところで店の外へ出ると、
4台の警察車両に店を取り囲まれていた。
武装警察らしき当局者も見えた。
・これまで何度も中国内で取材中に拘束されたことはあったが、尋常ではない物々しさを目の当たりにし、
ひざの力が抜け、倒れそうになった。
3人の大柄の男性警察官が近づいてきて、
無言で私の腕を取り押さえた。
・中国当局に拘束されたのは、この時だけではない。
北京に赴任した2007年以来、
短時間のものを含めれば、特派員として勤務した6年間で20回は越える。
・中国政府の記者会見にはできるだけ足を運び、
一番前に座って質問をし、会見後にも当局者を追いかけて食らいついた。
・トイレで待ち伏せしたこともあった。
しかし、返ってくる答えは発表資料とほぼ同じ。
インタビューを申し込んでもなしのつぶて。
・事務所内で頭を抱えていると、
駆け出し時代にデスクからしばしば怒られた言葉がふと、頭をよぎった。
・「悩んでいる暇があるんだったら、さっさと現場に走れ」
そうか。
特派員だからといって特別な存在ではない。
中国だろうがどこだろうが、新聞記者の基本は現場にあるのだ。
・そう思い直した私は、当局の発表に限らず、
インターネット上のうわさがあれば、
中国全土のどこへでも向かった。
・これまでほとんどの人が立ち入ったことがない、
いやこれからは二度と入ることができないかもしれない現場に
読者のみなさんと一緒に向かおうと思う。
★コメント
峯村氏の圧倒的な取材力と行動力には感服する。
現場へ必死に出向いているからこそ、
彼の記事の一文一文に説得力がある。
一言一句を大切に読みたい。
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