◆小林吉弥『高度経済成長に挑んだ男たち』を読み解く


★要旨

・「数字」に絶対の自信の池田勇人蔵相

・1年生代議士の蔵相として登場し、
超均衡予算をつくり、
「シャウプ勧告」による税制改革を
自らの手でやることのできた池田勇人は、
この時期、自信に満ち満ちていた。

・人並はずれた税への関心の
持ち主である池田には、
まさにしてやったりの感があったものと思われる。

・この頃の池田は、
勉強の手を休めることがなかった。

・もっとも、池田という人物は
経済財政とくに税に関する資料などは
人一倍よく読むのだが、
いわゆる長物の書籍の類はまず
読まないことで知られていた。

・古今東西の哲学、宗教書まで
読みあさっていた碩学の大平正芳があきれるほど、本を読んでいなかったのである。

・しかし、経済、財政についての
「数字」については、
誰もが一目置く認知ぶりであった。

・池田における数字好きは、
どうやら生来のもののようであった。
例えば、自分の学生の頃の授業料、
下宿代、酒代が月いくらと、
後年になってもじつに正確に覚えていた。

・大蔵省に入ってからも、
暇をみては各企業のバランスシートを広げては
経営状態を読み取り
税収としてどのくらいになるかを
はじき出しては
目を細めていたというエピソードもある。


・閣僚の私的スキャンダルなどの
「黒い霧事件」の責任を
一人かぶる形で田中角栄は、幹事長を辞任、
その後の第2次佐藤内閣では
自民党都市政策調査会長という閑職に
甘んじることをよぎなくされた。

・閑職に追いやられれば腐るのが人の常だが、
ここでの田中は一味違っていた。

・田中はこの閑職ポストで、
政治家となって以来、
一貫して自らが抱いてきた政治信念を、
体系的にまとめる「都市政策大綱」を
つくり上げることに全力を挙げたのだった。

・のちに首相となって発表する
「日本列島改造論」は、
まさにこの「都市政策大綱」を
具体的に肉付けしたものであり、
田中としてはここで「天下取り」へ
向けての最後の詰めとして本腰を入れた
ということでもあったのだった。

・田中のこの調査会にかける意気込みは、
大変なものであった。
現在なら5000万円に
相当する当時1000万円の私費を投じ、
調査会メンバーに派閥横断で
人材たる国会議員87人、その他、
この国の現状を憂う将来の国づくりに
情熱をたぎらせる中央省庁官僚、
自治体首長、学者らの精鋭を集め、
通常の調査会とは比較にならない体制で
臨んだのである。

★コメント
時代ごとに政治家たちが
リーダーシップを発揮した。
学びたい。

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