◆堺屋太一『体制維新、大阪都』を読み解く




※橋下徹・堺屋太一共著『体制維新、大阪都』要旨



・「よいことも悪いことも大阪からはじまる」といわれる。
その言葉通り、日本の盛衰に先駆けて大阪の栄枯があった。



・大阪都構想というのは、大阪の体制を変革し、大阪都によって大阪の都市としての活力・競争力を高めること。
大阪全体の経済成長を図り、加えて二重行政の解消という驚天動地の行政改革を達成することで財源を確保する。
また特別自治区によって医療・福祉・教育サービスを充実させ、住民にやさしい都市を作るのが狙い。



・東京都や大阪都のライバルは、ニューヨークでありロンドン、パリであり、あるいは上海やシンガポールである。
都市間競争に勝つためには、まず基礎自治体に力があって、その上の広域自治体が広域行政を担うという、二段組の行政機構にならざるを得ないわけです。



・総理大臣はもっと海外へ行け。
総理たるもの一年の半分は海外にいて、国際的なプレゼンスを高めていく必要がある。
内政の細かいことは、それこそ地方の政治家や自治体の首長に任せる仕組みをつくらなければならない。



・国は国の仕事をするということ。
国の仕事といえば、外交、防衛、通貨の発行、マクロ経済、高級司法など。
実際、日本の国は国の仕事が手薄。



・今の大都市大阪の仕組みを根本から変えていかないことには、世界の中の都市間競争にも勝てないし、国も強くならない。
そして地域事情に応じた住民サービスを提供することもできない。

これこそ日本にとっての喫緊の課題です。
だから僕は大阪都構想を掲げた。



・体制の変更は政治家の使命。
多くの予算を削ることで財政の健全化をはかり、それでつくったお金を本当に必要な施策に投入する。
いってみれば、政治とはお金をつくり配分することが仕事。

しかし、多くの政治家は政策が一番重要だという。
政策はもちろん大事。
だが、政策は政治家ひとりで考えるよりも、しかるべき専門家の知恵を結集して案を練ってもらうほうがよい。




・組織マネジメントの仕方がわからないと、政権をとっても政府の中に入っても、行政組織を機能させることはできない。
怒鳴りつけるだけでは、官僚は動かない。


僕も偉そうなことは言えませんが、弁護士時代、社外取締役で企業経営に関わった経験は、知事となってとてつもなく役立ちました。

政策を語ることと組織を動かすことは、まったく別物。
そのことがまだ日本の政治の世界では理解されていないように思う。



・トップに必要なのは組織マネジメント。
組織が機能するように仕事の割り振り、役割分担を決めること。



・政治家の役目は、一定の方向性を示し、その実現に必要な人やお金の配置をし、組織が機能する環境を整え、
組織が動かなくなる障害を取り除くといった組織マネジメントにすること。



・僕の考え方は、府庁幹部の会議や幹部へのメールで事あるごとに知らせました。
皆が100パーセント納得しているわけではないと思いますが。
ただ僕の考えを繰り返し伝えることは重要です。
橋下はこういう考え方なんだなとわかってもらうために。


知事就任直後から幹部宛にメールを昼夜を問わず出し続けました。
仕事の指示だけでなく、ニュースなどで気になったことに対する考え方も。



・戦略は細部に宿る。
政治的に決定を下した後で、行政組織がその決定に従って動くことができる環境を整えることも政治の役割。



・都市で稼ぐことが、世界の国家戦略になってきている。
都市とは国を引っ張るエンジン。



・大阪都は行政機構の再構築、体制の変更の話。
この仕組み作りそのものが目的なのではなく手段です。

この仕組みをフル稼働させて、大阪を日本を引っ張る大エンジンにさせること。
これが目的です。


産業政策、成長戦略、カジノ構想などの観光戦略、国際ハブ空港戦略、都市計画など、大阪全体に影響する戦略が一本化される。



※コメント

橋下氏は、仕事師のようだ。
府知事時代も担当者と政策について議論するために、膨大な基礎行政知識を咀嚼する。
その知力、体力、決断力、行動力は、並大抵のものではない。

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