労働力確保が課題 地域産業活性化計画対象地域の上伊那
労働力確保が課題 地域産業活性化計画対象地域の上伊那
経済産業省は今月1日、昨年6月施行の「企業立地促進法」に基づき、地域産業活性化基本計画の対象地域に上伊那地域を認定した。県内では初めてで、対象は高度加工技術・健康長寿関連産業。国が補助金や設備投資減税などで企業立地・産業集積を支援する。上伊那は技術の集積や市町村の積極的な取り組みもあり、企業立地の実績は県内でもトップクラス。一方、有効求人倍率の高さに示されるように労働力の確保が課題だ。
県の工場立地動向調査によると、上伊那の過去10年間の工場立地(工場建設など目的とした1000平方㍍以上の用地取得)は2002年に2件と最低水準に落ち込んだが、順調に回復し、06年は県内10広域圏で最多の15件、敷地面積24.8㌶の実績を上げた。県は、交通の便の良さや、受け皿となる工業団地の整備、培われてきた技術の集積、市町村の取り組み―などが背景にあると見る。
駒ケ根市のように、長年にわたり企業誘致に積極的に取り組んできた自治体に加え、最近になって本腰を入れ始めた自治体もある。
伊那市は04年9月、商工観光課に産業立地係を新設し、企業立地への取り組みを本格的に始めた。三位一体改革などで財政事情が厳しさを増す中で、企業立地に伴う固定資産税など自主財源の確保や、雇用の創出による地域の活力維持などが狙い。「産業立地」を市の重点施策の3本柱の一つにもすえた。
市外から誘致する以前の問題として、市内企業が市外へ出て行くケースもあったため、まずは市の幹部と担当課の職員による市内企業の訪問から取り掛かったという。訪問先では、移設・増設への補助金といった商工業振興にかかわる市の施策を紹介し、企業からの要望を聞く一方、用地の確保にも努めてきた。
企業の用地取得の要望に迅速に対応するため、工業団地内で未利用の用地を企業から買い戻し、受け皿として確保した。新たな工業団地造成の計画も進めている。
これまでに11社に計約12㌶の用地を提供した。そのうち9社は地元企業で、多くは工場の増設だ。市外からの誘致に積極的な自治体もあるが、市産業立地推進室長の平沢浩さんは「長年、地元に貢献し、信用もある既存の企業を大事にすることに軸足を置いている。企業立地に伴うインフラ整備など費用対効果の面でもいい」と説明する。
今年度から企業訪問の先を市外にも広げた。これまでに約60社に上るが、伊那市内の企業を紹介して取り引きを勧めるなど、企業誘致というより産業振興の側面の方が強いという。
最大の課題は労働力の確保。「工場を建設しても人材がいないと企業は成り立たない。『人材確保=企業誘致』になってきている。労働力の確保をいかにやっていくかがこれからのテーマ。それも単なる労働力ではなく、優秀な技術系人材を求めている」という。
認定を受けた産業活性化計画では、大学などと連携した人材育成への予算措置も含まれている。上伊那の計画では、工科系教育機関の誘致検討も掲げる。平沢さんは「企業誘致はそれぞれの自治体で競い合えばいいと思う。しかし、人材の育成や確保は上伊那全体で取り組む方が成果が上がる」とし、市町村の連携に期待する。
出典:長野日報