原作を知らない人や自分以外のファンがどう思うかはよくわからないけど、自分としては面白かったです。
以下良かった点と気にかかった点をまとめました。
良かった点
1本の映画として、石田さんの人間ドラマがよく描けている
石田さんは、原作では、カイジがなんとなく気まぐれで救ったおっさんでしかなかった
映画では騙し合いの極限環境の中、共に信頼しあって生還の喜びを分かち合ったキャラという味付けがなされた
特に良いところのないグズのおっさんが最後に矜恃を見せたってのも良いのだが、
これは1本の映画としてわかりやすく良いアレンジなんじゃないかと思った
時間配分としては、限定ジャンケンに20分、鉄骨に30分、Eカードに30分ほど尺が使われている
これを見てもジャンケンの難しい駆け引きよりは、石田さんの人間ドラマにかなりの力を入れたことが伺えるかと思う
不満がある人もいるとは思うが、自分としては映画という媒体を考えると良いと思った。
細かい点では、
冒頭の地下シェルターの話が、
・帝愛の異常性を表現している
・利根川と遠藤さんの力関係を示している
・地下建設現場が出てきたとき違和感なく見られる
と、色んなことを一つで表現してて、上手いと思った
気にかかった点
遠藤さんがそれほど追い込まれていない
原作では、遠藤さんは利根川派閥の人間だった。利根川が失脚したため、遠藤さんも不遇な扱いを受けるようになった。
その上で、遠藤さんとカイジは沼攻略のために共闘をしており、カイジが負ければ高飛びをしなければならないほどに追い詰められていた。
精神的にも境遇的にも追い詰められていたという理由で、カイジに金を貸すだけの動機があった。
対して映画で示された動機は、
・出世街道からは外れている
・金持ちの悪趣味を見せられて気分が悪かった
・カイジの作戦が優れている
・カイジの人間性が気に入った
といったものだ
しかしカイジの作戦を聞いての反応は、
直前まで「橋を渡り切った時は、あたしの見る目が無かったのかと思って心配したけど、やっぱりね、あんたクズよ」と言っていた遠藤さんが、カイジを信用するまでいくには もう一枚足りないように思えて自分としては微妙だった。ビールのくだり(「約束する。もし一緒に地の底に沈むことになったら、毎月給料日に冷えたビールを振舞う。あんたがヨボヨボになってくたばるまで。だから俺と」)も彼女が情でほだされるタイプだという描写もなかったし、丁寧でない部分を男女で誤魔化しているように思えて、これも好きではない。
勝てば5億が得られるが、負ければ地下行き、人生終了のギャンブルだ。
帝愛側の人間で、カイジと違い、一応勝ち組側の彼女が、
人生を投げ出すほどの条件だろうか。
しかもカイジが負けようが彼女には何の関係もない。
ただ、原作に準拠すれば、終わり方は
・文無しになったうえ指を失う 会長にリベンジを誓う
・勝負には勝ったが、遠藤さんに一本取られてくそぉ〜
の二通りだろう
1本の映画作品として、
どちらが支持を集められるかと考えると、破戒録のEDなんじゃないかと思う
むしろ別エピソードを組み合わせたにもかかわらず、
よくぞ1本筋の通った流れにまとめたなと感心するべきなのかもしれない

