カナリー・ミッションという団体がある。カナリー恐ろピー団体で、イスラエルの政策を批判したり、パレスチナ人の権利を擁護するような人、中でも大学教授や医者弁護士などの専門職、いい大学の学生さんなど社会的地位のある人の言動や個人情報などをインターネットにアップして、その人の評判を落とし社会的地位を奪うという行為をしている団体である。

その卑怯さがかえって興味があり、たまにその団体のSNSなどを見ていた。ある日、イランの首都テヘランからカメラに向かって語る若い女性の動画がアップされていた。「へえー、可愛いテロリストさんだね」と名前を見ると、カーラ・ウォルシュさんという方だった。

カーラさんは米国人で、若いころから政治に興味があった。十代のころから民主党の選挙の手伝いなどしていたようだが、その後民主党に対する強い幻滅を感じた。

米国は人々に適切な福祉、医療、教育を提供することができない。麻薬が蔓延し、治安が極端に悪く、住宅や公共交通に関する政策がない。つまり一言で言うなら衰退する社会だ。この衰退は1970年代から始まり、今日まで何度か民主党が政権を担う時もあったが、社会の衰退は止まらず、しかし愚かな戦争や謀略で米国社会を衰退させる政策は民主党共和党変わらない。二大政党制では社会の衰退を止めることはできない。それが、トランプ氏が大統領になった最大の理由だった。民主党には良識ある人もいると反論する人もいるかもしれないが、バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン、ニューヨークの市長などなどは「見てください、米国の民主主義は健全なんです!」と世界に見せつける飾りのような存在で、実際彼ら彼女らには党内の影響力はない。

2023年から始まったガザでの戦争はすさまじい破壊と暴力の過程だった。だが私たちが声明を発表したり、デモをしたり、選挙活動をしてもイスラエルの侵略は止まらない。では直接行動すればいいのではないか? そこで彼女は米国にあるエルビットシステムズ(イスラエルの軍需企業)の工場に侵入して逮捕された。

心細い刑務所での日々の後、彼女は仮釈放された。世の中を変えるにはどうすればいいだろう? 二大政党制じゃだめだし。やっぱり選挙以外の何かが必要では? という自問自答の中で、彼女はレバノンの首都ベイルートに移住し、今そこで暮らしている。

彼女は大手メディアから半分嘲笑のような報道をされ、彼女のご両親にまでおしかけられ面白半分の記事が書かれた。その卑怯さはさすが塩だなと思った。だが彼女は(彼女自身語っていることだが)カーラさんと同じように考える若者は多く、そこには彼女の居場所があり、考えを同じくする若者たちと積極的に情報発信をしている。一生懸命に頑張る若者の姿が眩ピー。

先日、カーラさんのサブスタック(クリエイターが記事や音声・動画を配信し、読者からの課金によって収益化できる米国のプラットフォーム)の有料会員になり、微力だけど応援することにした。抵抗が人生だとカーラさんは語る。たとえばホー・チ・ミンは21歳(カーラさんと同年)の時、ベトナムからフランスに向かう船の船員になった。料理番の助手だった。金はなく、高等教育も受けておらず、ただ祖国ベトナムを解放したいという信念だけがあった。将来この男がベトナムを独立させ、フランスと米国を撃退する運命を担っていたと誰が想像できただろう? だがホー・チ・ミンが「ホー・チ・ミン」になったのはそれから34年後のことだった。命の危険だけでなく、バカにされたり嘲笑されたりしたこともあったろう。その経験がなければあれだけの大事業を成功させることはできなかったに違いない。何が言いたいかというと、人生は長く、喜び苦しみがあるが、運命の女神の邪魔をすれば、道が開ける時もあるということである。頑張っていただきたい。