ふうちゃんと二人でデート。
向かった先はアルプス公園。
北口に車を止めて、緑の遊歩道を歩く。
美しいアルプスの山並み。
安曇野の水田がキラキラ光っている。
10分ほど歩くと古民家が見えてくる。
ここは自由に休憩所として使うことができる。
ここでひと組の家族に出会った。
「旅行ですか?」
その家族は、去年松本に引っ越して来たそうだ。
「どちらから?」と尋ねる私に、
一瞬ためらったように若いお母さんが応えた。
「あ…福島です…」
お互いに目が合った。
ふうちゃんは小学校6年のお姉ちゃんと、2年の弟君と遊んでる。
自分たちは原発から60キロの所に住んでいたこと。
国が指定した20キロ圏外に住んでいる人は、
なかなか受け入れてくれる県がなくて困ったこと。
松本市は15歳以下の子供がいる家庭を受け入れてくれて、
本当に感謝していること。
「転校したくない」と子どもたちが泣いて大変だったこと。
自営業の夫を残してきたこと。
これからのことを考えると不安で眠れないこと。
妹は子どもがいても、
ご主人の反対で疎開ができないこと。
などなど、60分は話をしただろうか…
「お母さん、もう行かないと間に合わないよぉ〰。」
子どもたちの声に促された。
これから、チェルノブイリから来た子どもたちの模様しものに
参加すると言っていた。
「話を聞いてもらって、心が軽くなりました…。」
お母さんはそう言い残して帰っていった。
ふうちゃんは松ぼっくりを拾ってる。
平凡な幸せ。
この平凡な幸せを、
誰も奪う権利なんかない。
改めて福島の痛みを感じた。