「恐怖の報酬」 オリジナル完全版 1977年 121分
監督・製作・ウイリアム・フリードキン
出演・ロイ・シャイダー、アミドゥ
1953年のH=G・クルーゾー監督作をウィリアム・フリードキン監督が
リメイクしたサスペンスのオリジナル版。
南米奥地の油田で大火災が発生。
4人の犯罪者が高額報酬や旅券と引き換えに
消火に使う爆薬ニトログリセリンの運搬にあたる。
1977年6月に北米で公開、それ以外の地域では監督に無断で
約30分カットされた92分の短縮版が配給された。
長らく権利者不明の状態にあったが、
2011年、フリードキン監督自らスタジオ2社を提訴し、権利者を特定。
4Kデジタル修復された121分オリジナル完全版が
2013年のヴェネツィア映画祭でのプレミア上映を皮切りに各地で上映。
日本でも2018年11月24日公開された。
先日のH・G・クルーゾー監督版に続いて、またまた見てしまった。
この映画も隠された裏話が結構面白い。
ロイ・シャイダーの役の最初のオファーは
スティーブ・マックィーンだった。彼も乗り気だったが密林での
長期ロケが嫌で断りかけたが、当時妻だったアリー・マックグロウが
私も新聞記者の役か何かで出演させてと、S・マックィーンにねだった。
脚本も完成してスケジュール調整も上手くいきそうもないので
これは製作サイドが断った。
もしこれが実現していたら全く違った作品になっていたかも知れない。
監督に断りもなしに、北米以外では30分のカットで公開という件も
もし「ゴッド・ファーザー」の時のロバート・エヴァンスがいたらと
残念でならない。短い作品を長くしろと言ったロバート・エヴァンス。
この人の映画を見る目の鋭さには驚かされる。
最終編集権がない監督の立場が弱すぎる。
監督のウイリアム・フリードキン、この人本当にロケが上手い。
「フレンチ・コネクション」もニューヨーク・ロケの上手さが抜群だったが
今回の完全版では、多くの地域でのお金をかけたロケに圧倒される。
トラックが出発してからも、カラー・ワイドの画面を生かしたロケの
上手さに圧倒される。クルーゾー監督版と比較するとサスペンスの
凄まじい盛り上げ方とか、シャルル・ヴァネルの描き方などは
確かにかなわない所だが、フリードキン監督も中々の物でした。
後にドキュメンタリー番組で、監督自身がこの作品について
語っていたが、胸の中の忸怩たる思いが相当あったようです。
二本とも面白い作品である事は間違いない。
今日は昼間に「霧の波止場」と「北ホテル」を見た。
マルセル・カルネ監督のモノクロ・スタンダード版の作品。
妻に「またモノクロ、DVDにカビが生えているみたい」と
馬鹿にされながらも、古き良き時代のフランス映画を堪能しました。