私の三本立て映画館 2 | B級おもしろ映画館

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私の三本立て映画館・2

   ~ラブ・ロマンス・ (モノクロ・バージョン)~

 

「ヘッドライト」    1956年   105分

  監督・脚本・アンリ・ヴェルヌイユ

  出演・ジャン・ギャバン、フランソワーズ・アルヌール

 

「恋人たち」    1958年  88分

  監督・脚本・ルイ・マル、撮影・アンリ・ドカエ

  出演・ジャンヌ・モロー、アラン・キュニー

 

「忘れじの面影」   1948年  86分  日本公開・1954年7月

  監督・マックス・オフュルス

  出演・ジョーン・フォンテイン、ルイ・ジョールダン

 

私の好きなラブ・ロマンス三本立てです。三本ともモノクロ。

この三本立ては劇場では体験していません。

祇園会館あたりでは、ありそうな番組ではありますが・・・・・。

 

「ヘッドライト」 

ジャン・ギャバンとフランソワーズ・アルヌールの共演。

トラックの運転手ジャン・ヴィァール(ジャン・ギャバン)は

ボルドオに近い国道のそばにある“キャラバン”という

運転手達の常宿の一室に疲れた身体を横たえる。

だが彼の頭はさえきって思い出が次々にかすめて行く。--

彼は丁度一年前のクリスマスの晩、

この“キャラバン”にくたくたになって辿りついた。

この前泊った時とは違う新しい女中

クロチルド(フランソワーズ・アルヌール)がいた。

二人はお互に心惹かれるようになり、

その後この国道を通る度に、ジャンはクローに会い、

二人の仲は益々深くなる・・・・・・・・。

中年を迎えた男の前に突然現れた若い女性。

アンリ・ベルヌイユは、ごく普通の人々の日常の中の小さな波紋を

見事にすくいあげて、親子ほども年の違う二人の恋愛を淡々と

描いていく。情事の結果、出来た子供を女は男に告げる事もなく

堕胎してしまう。男はようやく、がんじがらめの日常を破って

女との新生活に乗り出そうとするが・・・・・・・・。

フランソワーズ・アルヌールの官能的な美しさに陶然としてしまう。

ジャン・ギャバンの無骨そうな初老の男の何と魅力的な事!

普通の日常の中に、何ともぎこちない二人の愛を描いた

アンリ・ベルヌイユ監督の名作です。

 

「恋人たち」

ルイ・マル監督がヌーベルバーグの真っ只中に

美しいラブ・ロマンスを謳いあげた傑作。

あちこちで不倫を楽しんでいるジャンヌ・モローが

パーティの後で、皆が寝静まった時に、眠れないジャンヌ・モローが

庭に出る。月明りに照らされたジャンヌ・モローの美しい事!

ボートを漕ぎだし、川面に映る男女の影。このシーンの美しい事。

撮影は名手アンリ・ドカエ、流れる音楽はブラームス。

このシーンだけでもこの映画は傑作と云うにふさわしいでしょう。

 

「忘れじの面影」

ジョーン・フォンテインが、この映画のためにプロダクションを作り

結婚中だった夫・ウィリアム・ドジアと共に製作した一編。

一人の女の、一人の男への一方的な愛を描いている。

女は男を愛し、たった一度だけ契りを結ぶ。

男はそんな彼女を冷たく捨てて、女の前から去ってゆく。

彼の面影だけを胸に女は生き続ける。

何年かたって二人は再会するが、男は女を覚えていない。

一度は恋愛関係にあった女性をいくら何でもと思うが・・・・・・・・。

男のエゴと女の純粋な愛。この相いれない思いが最後まで続く。

男はルイ・ジョールダン。美男美女である。

撮影のフランク・プラナーのロウ・キーでソフトな画面が際立つ。

この一作だけのために、それまでの全財産を投げ出した

ジョーン・フォンテインの執念が作り上げた美しい物語です。

 

三本ともモノクロ作品。

濃い陰影の映像が、想像力をかき立ててくれる。

映画はモノクロの方が、見る人に語りかける力が

カラーよりも豊かになっているようで、物語がより美しく感じられる。

 

昨日の夜から、今日の昼間にかけて三本とも見直しましたが

至福の時間を過ごす事が出来ました。

 

ようやく春本番。山の桜も満開になっています。

明日も20度を超えるとの事。

何処かへ出かけたくなっています。