「事件」脚本は新藤兼人さん | B級おもしろ映画館

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「事件」     1978年   138分

 

  監督・野村芳太郎、脚本・新藤兼人、撮影・川又昂

  音楽・芥川也寸志、原作・大岡昇平

 

  出演・永島敏行、松坂慶子、大竹しのぶ、佐分利信、丹波哲郎

      渡瀬恒彦、西村晃、森繁久彌、乙羽信子、北林谷栄

 

若い女性が刺殺されて、遺体が遺棄されるという事件が起こる。

交際していた、19歳の男が逮捕される。

犯行を認めて裁判が始まる。

裁判長が佐分利信、弁護士が丹波哲郎、犯人が永島敏行。

証人に渡瀬恒彦、森繁久彌、北林谷栄、

それに殺された女の妹で、

犯人と同棲していて妊娠している女が大竹しのぶ。

1974年の大ヒットした「砂の器」の大ヒットの夢をもう一度と

作られた裁判劇。

外国の裁判劇は色々と名作や(十二人の怒れる男)

アッと驚く逆転劇(情婦)などがあって、面白い作品が沢山ある。

裁判制度の違いもあって、日本の裁判は映画に

向かない様な気がする。

名脚本家の新藤兼人さんも、裁判の進行と同じ位に

回想シーンを挿入している。見ている方に分かりやすくと思ったのだろうが、緊迫した裁判のやり取りが中断されるみたいになって

煩わしさも加わって、イライラさせられる。

弁護士や検事と証人の緊迫シーンを繋いでいけば

もっと迫力ある裁判が描けたと思う。

一つは犯人が、始めから確定している事もあって

裁判で何が争われるのかが問題だった。

犯人が未成年である事、犯人の動機と殺意の有無、

あやふやな事の多過ぎる事件であるが

無軌道な若者の犯行と断定しようとする検察側と

事件ではなく犯行は単なる事故で、死体遺棄だけは認めようとする

弁護側の争いになってゆく。

その裁判の間、裁判長や検事の傲慢不遜な態度や言動に

当時も今も日本の「上級国民」たちに苛立ちを感じてしまう。

この映画の圧巻は大竹しのぶさん!

ラスト、大きいお腹を抱えて、蟹股気味に歩く彼女には参ってしまう。

脇役に名優と言われる人たちを競わせた、

野村監督の手腕は見事でした。

映画専門チャンネルで放映していたのを、久し振りに見たが

まあまあ面白かった。この頃一本立てが流行っていたが

138分は少し長いように思う。

 

今日も昼間は真夏の暑さ。

この時期になってエアコンを入れるとは・・・・・・・。

明日も30度に届きそうな気配。

溜息しか出ません。