上の70ミリ・フィルムは「日本ヘラルド映画の仕事」という本の
付録についていた物です。
「地獄の黙示録」に関しては、何度も取り上げていますが
この映画の日本での成功は、当時絶好調だったヘラルド映画の
宣伝の上手さがあったと思います。
1980年2月16日、東京・有楽座で70ミリ版で4週間限定
完全指定制で公開された。有楽座での大ヒットの勢いそのままに
35ミリ版の一般公開でも大ヒットする結果になる。
その宣伝は凄まじいものだった。民放全チャンネルでのTVスポット。
ポスターは一体何種類作られたのだろうと思う位あった。
この映画にのめりこんでいた私は、ポスターだけで10種類くらい
手に入れていた。(何年か後にオークションで400万円の値が付いた
物まであった)
後半マーロン・ブランドが登場してからの、哲学的なシーンには
触れないで、あくまでも戦争映画として宣伝したヘラルドの戦略は
見事的中した。公開後、ヒットが確実になってからは
原作の「闇の奥」を持ち出して、難解である事を意識しての
宣伝も混ぜるという巧妙さには、唸るしかなかった。
私は今もこの映画を「壮大な失敗作」と思っている。
ジョン・ミリアスの完璧な戦争アクションが、後半30分で粉々に
なってしまった事は、コッポラ自身残念だったと思う。
最初のキャスティングでは
キルゴア大佐には、ジーン・ハックマン(ロバート・デュヴァル)
カメラマン役は、ロバート・レッドフォード(デニス・ホッパー)
フランス人入植者は、リノ・ヴァンチュラ(クリスチャン・マルカン)
主役はスティーブ・マックィーン(マーティン・シーン)
これだけ変われば、作品そのものの性格も変わってしまいます。
コッポラの言うがままに資金を投入し続けた
日本へラる映画には感心してしまいます。
以後、この映画に関してのドキュメンタリー「ハート・オブ・ダークネス」
の公開。3時間20分の特別完全版の公開を経て、
今回のIMAXによるファイナル・カット版の公開となっている。
単純に3時間20分版を3時間にまとめた作品に思えた。
IMAX効果の爆音などの臨場感は凄まじい物があったが
新たな映像はなかったように思える。
私には最初に見た70ミリ版の衝撃の方が強く残っている。
タイトルもない未完成のまま映し出される映像に
アメリカのベトナム戦争そのままの姿に思えた事を思い出す。
ナパームの匂い、ヘリの爆音、ワーグナーと
いつまでも脳裏から消え去る事のない映像の迫力は
やはりコッポラさんしか出せない物なんでしょう。
東北大震災から昨日で9年。
亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。
昨日書けばよいのにと自分でも思いますが
この震災に関しての私自身の想いが、
辛すぎて昨日は書けませんでした。
阪神大震災があってからは、日本列島に自然災害のない年は
ありません。あの日以来、何かが変わってしまっているようです。
今年はコロナ・ウイルスです。トム・ハンクスの感染も報道されています
いつ自分に降りかかるかも知れません。
とにかく良く寝て、よく食べて、体力を保っている事に専念しています。