先日「大脱走」の事を少しだけ書いたら
知人から肝心な事が抜けているとメールが届いた。
ドイツ軍人の制服の違いまで丁寧に描いていると言ってきた。
ヒットラー政権下のドイツには、国防軍と親衛隊の2種類の軍があった
親衛隊は立派な体格でアーリア民族系、
ナチス党員であり志願兵の超エリート軍団。
軍の大半を占めていた国防軍は、国を守るという名目のもとに
召集された人が大半だった。
強制収容所は親衛隊の管轄。捕虜収容所は国防軍の管轄。
最初と最後のマックイーンと収容所長の会話は
捕虜と収容所長の立場の違い、同じドイツ軍人でも国防軍と親衛隊の
違いが鮮明に表現されている。
以上のような内容に始まり、制服の色の違いなどの解説もあって
その詳しさにはただ驚くばかりです。
脱走に成功したのは76名中、3名だけ。
2人が捕まって収容所に戻され、他の71名は殆どが射殺された。
何故2人(S・マックィーンとJ・ガーナー)は射殺されなかったのかは
捕まったのが国防軍だっったため。
他の連中は親衛隊に捕まった為に殺された。
ラスト、収容所所長が「ナチスによって殺されてしまった事は
騎士道精神に反する理不尽な事」と残念がるシーンのリアリティは
同じドイツ軍人であっても制服の違いなど、複雑な事情を理解して
いればこその話である事が良く分かるように作られている。
ここまで解説されれば、もう一度見たくなってしまう。
人の生死や、映画製作時の政情の違いなどが
映画の内容までも変えるかもしれない状況の中
緻密過ぎるリサーチや気配りが、映画にリアリリティを持たせた事が
大ヒットにつながっていった。
メールはもっと長くありましたが、とにかくマニアならではの内容でした
ノーテンキにこの映画を楽しんでいた私には思いもつかない
アプローチと知識に感服してしまいました。
172分間の全てを詳細に解説しそうな勢いに呆れもしました。
1963年。激動の年でした。
ケネディ暗殺、キング牧師のワシントン大行進、その際の名演説。
シドニー・ポワチエの黒人初のアカデミー主演男優賞受賞。
「鳥」があり、007シリーズもありました。
そんな中での「大脱走」の公開。
その面白さは今も色褪せていません。
やはり、もう一度見に行こうかなあ~~と、真剣に考えています。
ラスト・シーン、「マックイーンの独房のキャッチボール」これが見たい