「幽霊繁盛記」&落語「死神」 | B級おもしろ映画館

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「幽霊繁盛記」  1960年  94分

   監督・佐伯幸三

   出演・フランキー堺、有島一郎、香川京子、柳家金語楼、森川信

 

落語ネタの古い時代劇が見たくなり、

大分前に時代劇チャンネルで放送された映画を探した。

東宝の喜劇がまとめて放送された中に、この作品がありました。

以前見た時はあまり感心しなかったが、今日見ると結構面白かった。

こちらが年をとったせいかも知れません。

 

ストーリーはほぼ落語と同じだが、主人公が真面目な葬儀屋となっている。医者の柳家金語楼の娘と惚れ合っているが

葬儀屋には娘をやれないと言われ、やけになって心中しようととする。

そこに死神(有島一郎)が現われ、「寿命があるから死ねない」と言う。

ここからは落語と同じ。重病人の枕元に死神がいたらダメで

足元にいたら助かるので、お茶でも良いから飲ませろと教わる。

葬儀屋から医者に鞍替えして名医の評判がたち

生活も楽になるが、女房にはだんだん嫌われるようになる。

お腹に子供がいる女房が難産で死にかけ、死神は枕元にいる。

寿命だから何もしても駄目という死神を騙し、女房と子供の命を救う。

これに怒った死神が、寿命のローソクをみせてやる。

死神を騙したおかげで自分の命があと僅かとしった男は

又もや死神を騙し、親子三人の命を長引かすことに成功する。

医者を止めて元の葬儀屋に戻り、真面目に働く男にたいして

さすがの死神も参ってしまい、「頑張れよ」と言うしかない・・・・・・・。

 

落語の「死神」は、金の亡者のようになった男が

金のために死神を騙し、死神から寿命のないことを告げられ

寿命のローソクに火を灯そうとする所で、オチにくしゃみをする所で

終わる場合が多い。男が女房に逃げられて独身である事や

ラストなどが映画との違い。

江戸の長屋の人情噺に改変した映画の方が

一般受けするように作られている。

主人公のフランキー堺はいつもの様に元気いっぱい。

死神役の有島一郎の、スットボケタ表情が絶品!

モノクロの作品だが、キチンと作られていて面白く見られた。

 

落語の「死神」は多くの落語家が、高座にかけているが

柳家喜多八さんが素晴らしかった。

「病弱のダンディズム」を売り物にしているだけあって

現実にはあり得ないシュールな話を、淡々と話す口調は

死神が乗り移ったようで、何度聴いても面白かった。

若くして亡くなられたのが残念でならない。

若い頃の立川談志師匠も面白かった。

元気溌溂とした男と、死神とのやり取りが堪らなく可笑しかった。

 

落語という不思議な話芸の持つ、独特の世界観を映像化する事は

非常に大変な事だが、たまに成功している作品もあるので

見逃す訳にはいかない。

スカパーの専門チャンネルさん、テレビドラマばかリやらずに

古い面白い作品をお願いします。

古い作品の良さが分かるディレクターがいないくなっているので

難しい注文なんだろうな~~~あ。

 

今日も快晴で気温も高め。

暖房もOFFにして、陽の当たる場所で猫とごろ寝。

なりよりの贅沢に感じて、少しだけ幸福感を味わいました。