「大笑い江戸っ子祭」 1959年 86分
監督・斎藤寅次郎
出演・雪村いづみ、三木のり平、有島一郎、益田喜頓、
森川信、八波むと志
時代劇チャンネルの映画特集で放映された作品。
録画だけしておいて、今日になってようやく見てみた。
この頃の東宝、喜劇をやたら作っていて
それが、社長、駅前、クレイジーなどのシリーズ映画の
量産に繋がっていった。
森繁久彌さんが「喜劇役者を並べただけで、面白い作品は出来ない」と言っていたがその通りだと思う。
多くの喜劇映画の失敗はそこにあると思う。
この映画もそんな喜劇映画の一つです。
落語の芝浜、たらちね、千両箱などを元ネタにして
長屋の人情コメディに仕上げた作品。
この作品、監督が大御所の斎藤寅次郎だけあって
笑わすツボは決して外していない。今見ると古臭いギャグも
当時は大爆笑だったと思う所が幾つかあった。
この当時の私は、中学生になったばかりで、東映お子様時代劇を
卒業して、日活アクションに狂いかけていた。
東宝映画は「独立愚連隊」から見るようになった。
東宝のコメディは殆ど見ていなかった。
この映画も初めて見た。モノクロのシネマスコープで
雪村いづみさんの歌が二曲入っている。彼女の売り出しの作品かと思うが、なんか中途半端な扱いになっている。
この頃、落語ネタで映画を作るのが流行っていたみたいで
死神を扱った「幽霊繁盛記」もあった。
松竹の山田洋次・監督もらくだをモチーフに「運が良けりゃ」を作り
東映では芝浜を題材に「江戸っ子繁盛記」が作られた。
これはマキノ雅弘・監督、中村錦之助・主演の堂々とした作品。
落語をネタにした映画の最高傑作が「幕末太陽傳」。
成功したのは「幕末太陽傳」位で、他にはあまりうまく行った作品は
ないように思う。落語という摩訶不思議な世界を映像に移し替えるには、相当な脚本家でも難しいように思う。
「大笑い江戸っ子祭」 私の好きな喜劇人が多数出ているので
今はもういない、その人たちの芸を見ているだけで楽しかった。
真冬の一月に春の嵐。風も雨も激しかった。
午後には収まり穏やかな冬の空になっていた。
雨の中、髪だけは切っておこうと出かける。
さすがにガラガラで、あっという間に終わって
二年越しにサッパリした。