「シャーロック・ホームズの冒険」 1970年 125分
監督・脚本・ビリー・ワイルダー、音楽・ミクロス・ローザ
出演・ロバート・スティーブンス、コリン・ブレークリー
ジェヌヴィエーヴ・パージュ、クリストファー・リー
「ハタリ!」を見終えて、ペキンパーを見ようと思ったが
目に入ったのがB・ワイルダーのこの作品。
真夜中に夢中になって見てしまった。
この映画も監督と製作者の意見が食い違い
B・ワイルダーの最初の構想とは、全く違った作品になった。
ホームズにピーター・オトゥール、ワトスンにピーター・セラーズで
上映時間4時間、4つのエピソードからなるホームズ映画の決定版に
なる筈だった。キャスティングに関してはギャラの問題や拘束時間の
問題で撮影前にとん挫してしまう。
この映画、他のトラブル映画と違うのは
B・ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドの脚本通りに
撮影が終わっている事。撮影中のトラブルで変更になっているのと
違って完全に近い形で撮影され、フィルムはちゃんとあったという事。
編集の段階で色々あったようで、面倒になったワイルダーが
完全に抜けてしまって、公開されたバージョンに変更された。
4つあったエピソードは2つにされてしまった。
その時点で切られたフィルムは破棄されて残されていないとの事。
残された2つのエピソードのバージョン。
これだけでもホームズ映画の最高傑作です。
ベーカー街のホームズの私生活を、見事に再現している。
時代考証も確かだし、霧にかすむ町並みの雰囲気も見事です。
ミクロス・ローザの音楽も、物語の邪魔をする事なく、心に響く。
シリアスな事件お話になってからも雰囲気は壊れることはない。
謎の美人、その夫の失踪、倉庫に隠された大量のカナリア。
事件を追ってネス湖にたどり着く。
クラシック・ムードの中で展開される事件と謎解き。
派手なアクションは殆どないが、古典的なスタイルを崩す事のない
エピソードのつなぎ方など、ウットリしながら見る事が出来る。
カッコ良くスマートで劇的なホームズではないが
楽しい映画である事は間違いない。
出来るなら最初の構想のバージョンを見てみたいが
今のバージョンでも楽しい作品になっている。
ワイルダー印にハズレはないと言う神話は
この作品にも当てはまる事です。
今日久し振りに国道19号を通って隣の町へ行く。
横切る事はあっても、何年も通っていなかった。
何と西武がなくなっていた。建物が全てなくなっているので
半年以上前に営業は止めていたのだろうと思われる。
知らないと言うのは恐ろしい。西武の駐車場に止めて
横にあるお店に行こうと思っていた。
私なんぞの思いより数段早く、世間は動いているようです。
一キロも離れていない旧国道は、何時も走っているのですが
全く気が付きませんでした。