昨日の夜は旅の疲れもあってグッスリ眠る事が出来た
朝になって優しい映画が見たいと思い
モノクロ・スタンダードの「野のユリ」を選んだ。
「野のユリ」 1963年 94分
製作・監督・ラルフ・ネルソン
出演・シドニー・ポワチエ、リリア・スカラ
W・E・バレットの小説を社会派のネルソンがメルヘン調で演出した作品で、主演のポワチエは黒人として初めてオスカーに輝いた。東独の修道院がなぜかアリゾナの荒野の真ん中の土地を相続し、派遣された五人の尼僧たちが流れ者の青年ホーマー・スミスをつかまえ、そこに立派な教会を建設するまでをほのぼのと描く。
ストーリーはこれだけです。修道士の院長であるリリア・スカラと
黒人の風来坊シドニー・ポワチエの、ポケット版の聖書を持っての
ユーモアたっぷりのやり取りが面白い。
無給で出される食事もお粗末な事に腹を立てたポワティエが
一度は去ろうとするが、材料などを買い込んで再び戻って来る所などが、見せ場の一つになっている。
「野のユリが如何にして育つかを思え、労せず紡がざるなり」と言う
マタイ伝の一節が、タイトルの由来となっている。
こんな優しい映画があるのかと、10代だった私には感動が
心に深く沁みこんできた。黒人霊歌のAMENも印象深かった。
教会が無事に完成。尼僧たちが歌うAMENが流れる中
来た時と同じように車で静かに去って行くポワティエ。
そこにエンドマークの代わりにAMENの文字が
スクリーンに出るラストシーンの素晴らしさ。
何度見ても涙が出ます。ラルフ・ネルソン監督、最高の作品です。
二日間の旅で、関西の味を存分に楽しんできました。
食べるだけでなく、関西の人の何とも言えぬ味を感じることになった。
神戸に向かったのは、古本屋を経営している知人を訪ねる事でした。
懐かしさに両方が喋りまくった時間でした。
震災ではへこたれることはなかったが
万引きなどがあり、これはもう防ぎようがないと嘆いていた。
それに本が全く売れないとの事。
田中純一郎さんの「日本映画発達史・全5巻」は、一冊200円でも
売れないと嘆いている。その本は、私が20年ほど前にネットで
5冊15000円で売ったというと、驚いていた。
置いていても売れないので、お土産代わりにあげるからと
文庫本で5冊渡された。生きている内にもう一度は会いたいねと
言いながら神戸を後にした。
その夜、大阪のホテルの近くの小さな居酒屋で食事を兼ねて
一人で飲んでいると、カウンター席の横に座ったオジサン二人組。
根っからの阪神ファンの様で、私にも話しかけてくる。
店の常連らしく、店主と一緒に「阪神優勝プラン」を練っている。
これが吉本の漫才よりより100倍面白く、聞き惚れてしまう。
随分と食べたと思ったが、二人のおっちゃんたちが
魚などのつまみは奢ってくれた。面白い話を有難うと感謝です。
街は東京のように高層ビルだらけになり
公共の乗り物はこれも東京のように便利になり
人も増えて、昔の風情は殆どないが
人間そのものは昔に比べても、そんなに変わってはいないと思う。
関西特有の優しさや、愛すべきアホさ加減、
なりよりも一人一人が持っている、絶妙の間。
これがある限り、街は好きではないが
そこに暮らす人たちは大好きです。
また台風が近づいている。
人も街にも被害がない事を祈っている。