高峰秀子さん、女優として長い間活躍された。
「浮雲」を代表作として、信じられない位の多くの映画に出演。
結婚や、彼女を苦しめた義母の死を契機に
女優業をサッサと引退。
夫・松山善三さんと二人だけの生活を大切にした。
義務教育さえロクに出ていない彼女だが
エッセイストとして多くの著作を出している。
これがどれも大変面白い。
その中で、現役時代に絶対に出演したくない
三つの事があると言っている。
一つは、男性のオシッコをする場面がある事。
もう一つは、食事の場面が多い映画。
最後は、暴力のシーンが多い映画。
彼女はフリーの立場だったので、自分の意志で出演映画を決めていた
それだから、上記三つがある映画には出演しなかった。
それと映画界に対してのいわれなき圧力などにも
堂々と立ち向かっていった。
その一番激しかったのが、映画「東京オリンピック」に対しての
政治家による批判だった。記録としてなっていないとか
日本選手の活躍場面が少ないだのと、
監督・市川崑さんが猛バッシングを受けた。
これに彼女は猛然と噛みついた。
「市川監督に全権をゆだねた以上、文句を言うな」に始まって
どうしていけないのかという事を、きちんとした言葉で丁寧に
説明している。この時、堂々と市川監督を擁護した映画人は
彼女ただ一人だった。凄いのはこの後に、文句をつけた大臣と
映画雑誌の対談をしている事。市川崑の監督としての仕事を
少しでも理解しているのなら、これ位の映画を作る事は当たり前で
事前の基本コンセプトを書いたシナリオにも書かれている事であり
3時間を超える壮大なドラマとして、立派な作品であると説明、
一歩も引くどころか、遂には納得させてしまった。
この後、違う人が編集した記録オンリーの「東京オリンピック」が
作られて、公開された。
晩年になって、老いた三船敏郎さんのプライベートな写真が
週刊誌に掲載された時も噛みついた。
穏やかな優しいお顔とは違って、内には激しい熱が煮えたぎっている
そんな彼女の文章が大好きです。
読んでいて楽しくなります。その洗練されたユーモアは
背中を叩いて、押してくれます。愉快、痛快な文章には
明日の生き方が見える様な気がします。
今、養女である斎藤明美さんが高峰さんの作品を発掘しては
本として次々に出版している。映画とは関係ない場合も
一冊残らず読もうとして、図書館にリクエストを繰り返している。
女優としても凄い人でしたが、人間としても素晴らしい人でした。
今日の昼間、多治見は35度を軽く超えている。
猫たちの部屋はエアコンがフル回転。
人間も少しだけお邪魔してアラン・ドロン様を見ました。
「ボルサリーノ」と「ボルサリーノ・2」の二本。
ナルシスト・アランドロン様を心ゆくまで堪能出来ました。
フランスのギャング映画も大好きです。
今、雨が降って来ました。
明日の台風が心配です。