京マチ子さんの本 | B級おもしろ映画館

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「美と破壊の女優・京マチ子」  北村匡平・著

 

図書館に行こうとしたら、私も行くと妻がついてきた。

平日、昼過ぎの図書館は閑散としている。

二階、三階と行ったり来たりで、ノンビリと本を見てまわる。

今年2月に出版されている事は知っていたが

多治見の図書館にあるとは思っていなかった。

京マチ子さん。

日本映画黄金時代に「羅生門」 「雨月物語」 「地獄門」で

世界の映画祭でグランプリに輝いた作品に主演女優として

世界にその名をとどろかせた。以後も「八月十五夜の茶屋」で

マーロン・ブランド、グレン・フォードtの共演など、

多くの話題作にも出演している。

日本の巨匠と言われる黒澤明、溝口健二、小津安二郎、市川崑

成瀬巳喜男、吉村公三郎、伊藤大輔などの作品に出演している。

私が映画を夢中になって見だした1963年頃からは

斜陽化が進む日本映画にあって、さすがに出演本数が激変している

私が映画界と関りを持つようになった頃には、

映画にはあまり出なくなっていた。

大映京都での彼女の最後の作品「玄海遊侠伝・破れかぶれ」で

辛うじて間に合い、あまりお話する事は出来なかったが

女優・京マチ子としてのお姿には、お目にかかる事が出来た。

この映画で目立ったのは安田道代さんだったが

着物姿の京マチ子さんの艶やかさはさすがでした。

生涯に100本の映画に出演されたが

彼女が一番輝いていた1950年代の作品を、リアルタイムでは

多分一本も見ていないと思う。その事が歯がゆくてならない。

今日借りてきたこの本、八章に分かれて書かれているが

帰って来て五章の「八月十五夜の茶屋」まで読み終えた。

ここまで49本の映画が紹介されている。

彼女の仕事を知るためには、ここまでの映画をもっと見たい。

なりよりも1953年公開の成瀬巳喜男・監督の

「あにいもうと」をもう一度見てみたい。

映画界をその美貌と度胸で渡り切った京マチ子さん。

今年5月12日に95歳の生涯を閉じられた京マチ子さん。

その作品は今も見る事が出来、

彼女の輝きは少しも失われてはいません。

その魅力と作品にもう一度接して見たいと思わせてくれた

素晴らしい一冊になりました。

 

暑いのだか、寒いのだか分からない日が続いている。

雨も降ったり止んだりの一日。

不快な気分だけが続いている。