「聖衣」 1953年 124分
監督・ヘンリー・コスター、音楽・アルフレッド・ニューマン
出演・リチャード・バートン、ジーン・シモンズ、ヴィクター・マチュア
構想10年、製作費450万ドル、登場人物10万人
20世紀フォックスが開発したシネマスコープ第一作、遂に登場!
田舎の新聞に載っていた広告のキャッチコピーです。
勿論この映画の公開の時は、小学生だった私は最初の公開では
見ていませんし、新聞のコピーも知りません。中学生になってから
学校の図書館で知りました。
押し入れに入れてあったDVDのハードディスクを調べていたら
この「聖衣」が録画してあった。懐かしさもあってつい見てしまった。
キリストに関する物語で、50年代から60年代にかけて
山のように作られていた。シネスコ第一作として無難な聖書物語が
題材になったのは当然と言えば当然の事だったのでしょう。
この映画も内容的には何もなく、宗教臭さだけが鼻につく作品となった
横長のシネスコ画面だけは、スペクタクル映画としての見どころは
あるのでそんなに退屈はしないで済む作品となっている。
テレビに対抗してスクリーンのサイズを大きくしようと
シネスコに始まり、ビスタビジョン、70ミリ、シネラマと開発された。
今やパナビジョンが主流になり、シネスコ・サイズ以外は
殆ど姿を消した。日本では70ミリすら上映できる劇場は皆無となった。
仕方のない事とは言え、少し寂しい感じがつきまとう。
私が初めてシネマスコープ作品を見たのは、
日本映画で「明治天皇と日露大戦争」。日本のシネスコ第2弾です。
父に連れられて行った田舎の映画館は超満員。
二階の畳の敷いてある所に無理矢理潜り込んで見た記憶がある。
子供心に横に大きく広がった画面に驚いた。
「端っこに座ると、反対側の端っこを見るのに双眼鏡がいる」などと
噂されていた。当時はそれ程驚異的な出来事だった。
大人になってから名古屋の名宝スカラ座の関係者と
話していたらこの「聖衣」を封切った時の事を聴く事が出来た。
この時のテープや、いただいた資料が今手元にないのが
残念でならない。半分ホラ話のように話していた映画館関係者の
愉快な姿が懐かしい。
60年も前の映画ですが、映画史の大きな出来事の一つで
あった事は、映画の内容とは関係なく記憶の片隅に残しておきたいと
思っています。
雨はまだ降ってはいないが、蒸し暑い夜になっている。
明日は朝から雨の予想。大雨にならない事を願っています。