「裸の町」 1948年 96分
監督・ジュールス・ダッシン、音楽・ミクロス・ローザ
出演・バリー・フィッツジェラルド、ドン・テイラー
オール・ロケーション撮影、セミ・ドキュメンタリー・タッチの見事な作品
映画は、ニューヨークの上空からの俯瞰撮影で始まる。
これにナレーションが入るが、
これが製作者マーク・へリンジャー自身の声。
「ウエストサイド物語」のオープニングと同じだが
あれほどのスピード感と爽快感はないが
モノクロ・スタンダードの画面に映るニューヨークは
20年の時を感じさせない。
これでニューヨークと言う町の生態が紹介され、事件が起こる。
「バスタブ殺人」として、新聞などに取り上げられていく。
ここからニューヨーク警察の捜査が描かれてる。
警察の捜査が地味に描かれ、捜査網が少しずつ犯人に近づく。
その間、被害者の周りに蠢く、小悪党たちがあぶり出されて
何人かの泥棒達が逮捕される。
クライマックスは、追いつめられ逃げる犯人が、
ウィリアムスバーク橋から撃ち落される。
これだけの物語だが、捜査の過程で警察がニューヨークの街を
歩き回り、生のニューヨークの姿が克明に映し出される。
そのさりげない描写が、見応え充分でダッシン監督、この時37歳。
才能のありったけが画面に躍動している。
警察の捜査も派手な部分は全く無く
刑事に扮した地味な俳優たちが、
暑いニューヨークの街を歩き回る。
一つの殺人事件から、ニューヨークの裏の人間模様。
働く人々、遊ぶ子供たち、ドキュメンタリー映画を見る様な
気持ちになる。この映画以後、日本映画も犯人がやたらと
高い所に逃げるシーンが増えたそうです。
世界の映画に多大な影響を与えた作品の一つです。
初めて見たのはフィルム・センターの特集上映。
以後、名画座などで何度か見ている。
今回見たコスミック出版のDVD。画質・音ともにそんなに悪くない。
10枚セットだが、一枚は190円程度。
P・D商品とは言え安いので本当に有難い。
若きダッシン監督、この傑作を撮り終えた後、赤狩りを恐れて
ヨーロッパにわたり「男の争い」で、再び世界に衝撃を与えた。
以後、メリナ・メリクールと組んで
「日曜はダメよ」 「死んでもいい」 「トプカピ」などの秀作を連発する。
二人は結婚後も、人権運動などに積極的に参加して
政治的にも、進歩派としての姿勢は変わることはなかった。
「裸の町」は、そんな彼のキャリアの中でも、最高の作品だと思う。
製作されて70年が過ぎるが、名作は色褪せる事はないようです。
曇り空の一日だったが、時折陽ざしもあって気温は高めの16度。
今は本降りの雨。寒くはないのが有り難い。
その雨の中、サッカーのカップ戦が名古屋でやっている。
対神戸なので楽しみにしていたが、まるで2軍戦の様相。
雨の中、見に行った人はお気の毒としか言いようがない。
もう一つの中継で、大分が逆転。
リーグ戦もだが大分の躍進が面白い。
深い理由は無いが、今年は磐田の試合を見に行こうと思っている。