「飢餓海峡」日本映画の底力! | B級おもしろ映画館

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「飢餓海峡」  1964年12月27日・公開版  183分

          1965年 1月15日・公開版  167分

 

監督・内田吐夢  脚本・鈴木尚之

出演・三国廉太郎、左幸子、伴淳三郎、高倉健

 

1964年の暮れ、東映の一部の劇場で

内田監督が編集にOKを出した183分が公開され、絶賛された。

年が明けて1月15日、東映系列の劇場で一般公開された。

これが何と、監督に無断でカットして167分として公開された。

私は両方の版の初日に、劇場で見る事が出来た。

183分版を見た時、最初の岩内の火災に始まり、層雲丸の海難事故

警察の捜査が始まり、事件が動き出す約一時間近くのシーンの

リアリティに息を呑んだ。ザラザラした画面の質感に圧倒された。

3時間を超す映画を見終わった時、椅子の背に持たれて息も出来ない

衝撃に頭が混乱していた。斜陽と言われていた当時の映画界で

これだけの作品を作り上げた、監督をはじめ東映のスタッフ

キャストの皆さんの努力の結果に頭が下がる思いがした。

一緒に見ていた私達大映のスタッフは、

劇場を出てから、しばらくは誰も何も語ろうとしなかった。

全員が深い感動に酔っていた。

 

年が明けて一般公開が始まった。

カットされているとは聞いていたし、上映時間も短くなっているので

ある程度の事は予想していた。上映が始まり驚きは怒りになった。

弓坂刑事が、自費で東京に出て八重を調べる東京でのシーンが

スッポリと全て切られている。

そんなに上手くない東映の美術が総力を結集し

作り上げた闇市の素晴らしいセットが全てカットされている。

友人でもあったスタッフの一人は、公開後にあった時に

「人生でこんな悔しいことはない」と泣き崩れていた。

 

現在、DVDで見る事の出来るのは183分版のみ。

フィルム・センターなどの上映も、長い方のみとなっている。

 

今日朝早く起き出して録画してあった、WOWOWの放送分を見た。

モノクロ画面の質感、暗い画面も当時と何ら変わることはなかった。

やはり名作です。堂々たる傑作です。

戦後の混乱期の日本の状況や貧困。

それらを二つの犯罪を軸に見事に描き出している。

W-106方式などと、訳の分からん呼称でさも何かありそうな

宣伝も今となってはご愛敬ですが、映画そのものは間違いなく本物。

長い作品だが多くの人に見てもらいたい映画の一つです。

 

今日は昼頃から、円頓寺の古本市に行ってみた。

名古屋駅のゲート・タワーでランチを済まし

ブラブラと歩いて行った。やはり少々寂しい古本市になっている。

以前は個人で出店している人が多かった。各人が持ってきている

本の量も多かった。今回見て回ったが、本の量も少なく質も悪い。

円頓寺商店街は、本にもなる位に新しい店が出来ているが

古本市はこの辺が限界だと思う。業者も出店していたが

持ってきている本が少なすぎる。

文句ばかり言っても仕方ないし、折角来たのだからと探したら

一冊だけあった。「ジョン・ヒューストン自伝・王になろうとした男」

定価は3000円を超えている。本の状態も良いので値段を見ると

800円。業者の人だったが少し高いと思い、言って見ると

100円ダウンの700円。まあこんな物だろうと購入する。

円頓寺名物、四角いお好み焼き(一枚・150円)を買って

帰って来た。よく歩いて運動にはなったが、都会の騒音と目に飛び込んで来る色彩に疲れました。