「ニュールンベルグ裁判」 | B級おもしろ映画館

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「ニュールンベルグ裁判」   1961年  194分  モノクロ

   監督 ・ スタンリー・クレイマー   脚本 ・ アビー・マン

   音楽 ・ アーネスト・ゴールド  撮影 ・ アーネスト・ラズロ

   出演 ・ スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター

         リチャード・ウィドマーク、マクシミリアン・シェル

         モンゴメリー・クリフト、 ジュディ・ガーランド

         マレーネ・ディートリッヒ

モノクロ・スタンダードで194分、しかも全編、室内での裁判劇。

初めて見た時は、名古屋のテアトル名古屋のチケット売り場の前で

どうしようかと考え込んでしまった。

当時16歳の私は、キャパ1000の大劇場も初めてだった。

見終わった瞬間、人生が大きく変わってしまった。

この監督に会いたい。映画の仕事がしたい。

ここからが今も良く分からないが、折角の仕事も学校もやめて

何故か京都の撮影所を目指して、関西に向かった。

3年後に目標の一つは叶い、9年後もう一つも叶う事が出来た。

「ニュールンベルグ裁判」 ヒトラーの暴虐に加担した、

法律家や裁判官を、アメリカの裁判官が裁くと言う作品。

「東京裁判」もそうだが、戦争の勝者が敗者を裁く事に

何の意味があるのか?と、いつも思っていたが、

この映画は、結果として残虐な法律を立案する事が

どの様な罪なのかと、問いかけている。

戦争を父と祖父からの話からしか知らなかった私には

この映画はショックでした。以後、今に至るも「戦争」を考え続けている

わたしは生まれてから「戦争」を全く知らない。

ある人は「生まれてから戦いのない日は一日もなかった」と

テレビのインタビューに答えている。生まれた場所が違っただけなのに

この違いに愕然とする。田舎に帰った時、祖父の戦友が来ていて

部屋の隅で何時間も言葉は交わさず、酒を酌み交わし、声を上げて

泣き崩れる姿を見た時、学生時代に戦争について懸命に

学んだことが、急に虚しく思えた。思えばこれが人生の一回目の

挫折だった。それもこれもスタートは「ニュールンベルグ裁判」だった。

今回、シネフィル・WOWOWの放映で久し振りに見直した。

凄い俳優たちが、全員がアカデミー賞と言う位の凄い演技で

それを見るだけでも面白い。映画完成から57年という時を

感じさせない、今も間違いなく傑作の一つです。

 

さあ、ワールド・カップです。

何が起こるのか?何が待っているのか?

楽しみな一か月の始まりです。