「渚にて」 1959年 135分 モノクロ
監督 ・ スタンリー・クレーマー
出演 ・ グレゴリー・ペック、エヴァ・ガードナー
アンソニー・パーキンス、フレッド・アステア
誰もいない、ゴミだけが舞う道路。「兄弟よ、まだ遅くはない」の
垂れ幕が風に吹かれている。無常ともいえるラスト・シーンに
S・クレイマーの核兵器への静かな怒りが込められている。
核戦争によって、北半球は全滅。放射能は徐々に南半球に迫り
ここオーストラリアのメルボリンも、自殺用の薬が配られたりと
死の影が濃くなってくる。そんな中、アメリカの原子力潜水艦が寄港。
艦長はG・ペック。アメリカ本土の被害を調査の為、サンフランシスコに
向かう。人影は全くなく、乗り捨てられた車が大量に見える。
初めて見た時、このシーンは衝撃的だった。ある音が聞こえるので
一人の兵士が調べに上陸する。無人の工場で風に揺れるコーラの
瓶が機械に当り音を出している事が分かる。この兵士は戻ることはせず、誰もいない岸壁で釣り糸を垂らす。帰ってこいの問いには、
「何処にいても同じならここで死ぬ」と答える。
この映画の最も印象に残るシーン。メルボルンに帰ってみると
死の灰は静かに確実に迫って来ている。
監督・S・クレーマーは、アクション・シーンは一切描かず、
核戦争の恐怖を見事に描いている。今回DVDで見直して見て
その静かな訴えに、心が震え、無人のラスト・シーンに茫然となった。
今、世界は確実に狂気の方に舵を切りつつある。
この映画の恐怖は、間違いなく現実のものである。
そうでない事を祈ってはいるが、疑問符が幾つも付けられる。
平和の祭典であるべきオリンピックですら、政争の道具にしてしまった
世界のトップにいる人には、もはや何を言っても無駄な事なのかもしれません。辛く、哀しい現実しかないのでしょうか・・・・・・・・。
最高気温17度。待っていた春です。陽の光を浴びた布団が心地良い
後、2日で3月。青春18切符の出番です。西へ、東へ、北へと
時刻表を見ながら、ウキウキの気持ちが高まるばかり。
スタートは3月5日、大津・琵琶湖周遊がスタートです。