今日 2014年10月2日 は特別な日です。
今からちょうど100年前の朝にブルックリンで起きた出来事について以下の ものみの塔では幾つかの不正確な記述と共に説明しています。
*** 塔90 10/15 16–19ページ 3–16節 感謝しましょう―メシアによるエホバの王国は支配しています ***
1914年10月2日の金曜日の朝,ラッセルはニューヨーク市ブルックリンにあるものみの塔協会の本部の奉仕者たちに,「異邦人の時は終わりました。その王たちの日は過ぎ去ったのです」という発表を行ないました。「神の家」ベテルの家族は熱烈な拍手をもってその発表にこたえ応じました。
10月のその日の朝,C・T・ラッセルとその仲間たちが大変喜んだことにはどんな正当な理由がありましたか。「異邦人の時」という言葉はどこから出ているのですか。異邦人の時が1914年10月に終わったというどんな証拠がありますか。・・・計算によると,西暦前607年の10月に始まった異邦人の時は,2,520年後の1914年10月に終わりました。
ここで言っている「異邦人の時の終わり」は現代のエホバの証人が考えるものとは全く異なるものでした。ラッセルとその追随者は1874年にキリストの臨在が始まっていて1914年は文字通り終わりが来ると自信をもって宣伝していました。
上の引用では C・T・ラッセルとその仲間たちが大変喜んだ「正当な理由」と書いていますが
本当のことを言うと、彼らは予言が外れたため10月2日以降に大きな失望を抱いています。
さらに「計算によると,西暦前607年の10月に始まった異邦人の時」と書いていますが、これも間違いでラッセルは異邦人の時が始まったのは西暦前606年の10月だと述べていました。つまり1914年というのは計算違いで、本来は1915年という計算になるのです。
しかし1914年の夏までには(10月ではなく)にヨーロッパが戦争に巻き込まれるという歴史的には比較的大きな出来事があったおかげで、この教理の一部が生き残ることになり、1914年から「終わりの日が始まった」あるいは「キリストが天で王となられた」というエホバの証人の中心的な教理となっています。
以下は、エホバの証人の教理について率直な感想を述べたカール・セーガンの言葉です。
カール・セーガンはブルックリン生まれの有名な天文学者です。
最初読んだ時は、セーガンの皮肉を込めた言葉はきついものに感じましたが、最近の統治体の動向や、「キリストの王国誕生100周年」とかの宣伝を見ると、かなり的を射た言葉のように思えるようになってきました。
カール・セーガン サイエンス・アドベンチャー(下)201頁
予言しない教理は、正しい予言をする教理にくらべて人をつかむ力は弱いが、誤った予言をする教理よりは成果をあげられるものなのである。
ところが、いつもそうだとは限らない。ある有名なアメリカの宗教が、この世は1914年に終わるだろうと自信たっぷりに予言したことがある。さて1914年という年が明け、そして暮れた。その年に起こった事件はかなり重大なものではあったが、少なくとも私の目にはこの世が終わってしまったようには見えない。このような大変な予言がはずれた場合に宗教法人がとる態度は、少なくとも三とおりある。問題の宗教法人は「おや、”1914年”と言いましたか?失礼、実は”2014年”でした。計算に少し誤りがありまして。何かご迷惑をかけていなければいいのですが」と言うこともできたはずだが、実際にはそうは言わなかった。あるいは「私ども信者が神様に熱心にお祈りを捧げて地球をお救いくださるようお願いしなかったら、この世はもう終わっていたはずです」とも言えたはずだ。しかし、そうも言わなかった。その代わり、ずっと巧妙な手を使ったのだ。自分たちの預言通り1914年にこの世は終わってしまっていて、皆さんがそれに気がつかないでいるとすれば、それは皆さんの責任である、と発表したのである。こんな見えすいた言い逃れをしても、この宗教に依然として信者がいるというのは驚くべきことだ。確かに、宗教はそう簡単に滅びはしないものだ。反論を受けるような論争は避けて沈黙しているか、あるいは反論されたら、いち早く教理を練り直してしまう。宗教がこれほどまでに恥知らずで不誠実で、信者の知能程度を見くびっていながら、依然として信者を集めている事実は、信者たちの知力があまり強靭ではないことを物語っている。だが、敢えて注釈をつければ、宗教的体験の核心には合理的な調査研究を頑強につっぱねる何かがあるということを、この事実は明らかに示しているのである。
(英文は「Carl Sagan – Broca’s Brain」に収録)
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