ブログネタ:「今夜は寝かさないぜ」と言ったこと言われたことある? 参加中夜10時を回っていたように記憶している
ノックもせず入ってきた井村、濱野、高田の三人
「七並べせえへん」
能天気な濱野が宣う
「アホか!明日受験やで」
僕は、まっとうな返答をする。
「まぁ、ええがな。今夜は寝かせへんで」
井村の目が輝いている。こいつの目が輝くとロクなことにならない
「何がまぁ、ええがなやねん。ワシは明日、じゅ・け・ん」
京都に一年近くも暮らしていると曲がりなりにも関西弁らしく喋れるようになる。
僕は、浪人一年目。一軒屋の一室を間借りしていた。同じように間借りしていたのが、井村、濱野、高田だ。後一人山内というのがいて、五人の一浪生で、暮らしていた。さしずめ浪人荘といったところだ
五人は、一年間の夏休みをもらったが如く、ゲーム・パチンコ・観光地巡りに熱中したし、喫茶店に入り浸った。ただ『勉強しなければならないからバイトはできない』という変な不文律があり、みんなお金はなかった。
それで、いきついたのがトランプだ。毎晩誰かの部屋で、トランプで遊んだ
それでも、冬になると、いくぶん不安になる。なんたって浪人生なのだから
僕の都合を考えない三人は、好き勝手に炬燵に入ってくる
「早よ、片付けて」
高田が参考書やノートをてきぱきと片付けていく。高田は無口な男だが、やる時にはやる男だ
「今夜は、壮行トランプや。負けへんで」
壮行トランプと負けないことと井村の頭の中で、どう結び付いているのかわからないが、もう止められない。四人はそうやって一年やってきたのだから
壮行七並べは、朝5時に解散した。僕は、当然のように試験会場で爆睡してしまう。
結果?
聞かなくてもわかりますよね(^^ゞ
それでも、僕は三つの大学に合格し浪人荘を出ていくことになる
井村、濱野、高田の三人には、神の鉄槌がくだった
可哀相なのが山内。彼は京大志望なだけあってお勉強はできた。すごくできた。ただ、環境が悪すぎた。浪人荘を出ていったのは賢明な判断だったといえる
高田、彼も浪人荘を出ていった。なぜ、出ていったのか誰も知らない。ただ、やる時にはやる男ではあった
濱野、二年目になって彼は変わった。部屋の掃除と換気をしなくなったのだ。能天気だけの男が、ものぐさな能天気男になった。そして、誰も彼の部屋に近づかなくなった
井村、彼は浪人生が何をすべきなのかを理解することなく一年を過ごした。二年目に入っても理解できないでいた
憐れなのは、新しく浪人荘に来た三人なのだが
その後の消息は知らない