遅くなりましたが、コーチとして今回のJWOC2010を総括したいと思います。
今回のJWOCは、近年の「経験」としてのJWOCから、「強化」としてのJWOCへと大きく舵を切った初年度の大会でした。
私自身昨年のJWOCには付き添っていたものの、代表コーチとして全体の舵取りをするのは、はじめての経験でした。
さらに世界と闘うためのジュニア「強化」という課題は、これまで日本のOL界では全くと言っていいほど検討されてこなかった部分であり、手探り感は否めない運営でしたし、引継いだのがこの3月だったということもあり、十分に準備ができたとは言えませんでした。
しかし、その中でも2次選考方法やその後の合宿、AsOCへのチームとしての参加など、「強化」という点を打ち出し、様々な取り組みを短期間ながら行えてきたと考えています。
具体的には
・例年に比べ、本番に類似したテライン&必要な技術を意識したトレーニング
・AsOCなどの合宿を通して、代表としての「意識」や「一体感」の醸造
・メンバー選考における枠組みの見直し
・U-20強化選手を創設し、強化の幅を広げる
などを行って来ました。
さてそうして臨んだJWOC本番。チームとして考えていた目標は以下のとおりでした。
・ミドルB-finalにて一人でも多くの選手を出場させること(男子)
・リレーにおいて、昨年より1つでも上の順位を狙う。
・ウムスタートの回避。
またチームの中でのトップレベルの個人には個別に以下のような目標を与えていました。
・得意種目において、全体の半分の順位を狙う。
以上の目標は、正直「日本チームを応援したい」と考えている人々から見ると、あまり魅力的とは思えない目標であったことは理解しています。
しかし、
・昨年B-finalのボーダーにすら最も近い選手で7分あったこと、
・リレーでも1つ順位をあげるには10分、2つ順位を上げるには20分という差があり、勝負という観点から取り残されていたこと、
・個人順位も100位(男子150人中、女子120人中)の壁を誰も切ることが出来なかったこと、
などを考えると、適切な目標であると考えていました。
さらにそれだけでなく全員に言っていた大きな目標として
・海外選手と同じ舞台に立つこと
という話をしていました。
これは昨年、JWOCという独特の空気に飲み込まれ、自分のレースができない選手が多くいたこと。
また現実の順位として、底辺に日本選手が固まり、外国選手と競っている感覚がなかったこと。
それにとどまらず、コミュニケーションやバンケットなどレース以外の面でも十分に海外選手と交流をもできなかったこと、など、あらゆる面で「内向き」な日本人の持つネガティブな状況やメンタリティーから脱却したいという気持ちの現われでした。
今大切なのは彼らに勝つことではない。まずは同じ舞台に立ち、競いあったと言えるようにしたい。
この10年で取り残されてしまっていた私たちが始めなければならなかったのはそういうところからでした。
さて、そうした点を踏まえての目標の達成度は・・・
まず1点目の男子ミドルB-final進出者については、残念ながら0でした。
一番近かったのは、45位近藤の2分19秒差でした。
2点目のリレーの順位に付いては、
・男子は前年30位(完走31チーム)から24位(完走28チーム)と大幅躍進。
一方で女子は残念ながら22位(23チーム)から23位(23チーム)と後退してしまいました。
その一方で、3点目のウムスタート回避は、
・男女3チームともウムスタートにはならず。
昨年全チームがウムスタートだったことより改善されました。
そして最後の全体の半分の順位についてですが、
・目標を達成した選手は残念ながらいませんでした。
一番好成績をあげたのは、女子スプリントでの星野の72位(完走110人)でした。
という結果でした。
これを客観的な評価すると、4つの目標について2つの目標達成ということで、50点というところでしょうか。
しかし私自身は、このチームにもう少し高評価を与えてもいいかと思っています。
一つは、B-finalについて、十分な可能性を示せたこと。
近藤だけでなく、宮西や三谷もB-finalまであと3分というところまで来ていました。
そしてトレキャンではこの3人よりも良いタイムを出していた尾崎と深田のポテンシャルを考えると、ほとんどが十分突破の可能性があったこと。最もボーダーから遠かった深田のタイムでもボーダーから10分であり、逆にに去年ボーダーから最も近い選手が7分(これも深田)だったことを考えると、全体のレベルアップは間違いありません。
次に半分の順位という点ですが、目標は達成できなかったものの星野の72位という順位は過去のJWOC女子スプリントでの最高成績です。
また男子スプリント近藤の106位と三谷の108位(148人中)、男子ロングの尾崎の116位(147人中)、またミドルはC-finalですが、尾崎10位、三谷13位、深田21位(52人中)という成績も、これまでからすれば決して悪い結果ではありません。
そしてなによりも、「海外選手と同じ舞台に立つ」という点においては、もちろん100%ではないですが、多少は目標を果たせたのではないかと思っています。
実際、スプリント、ロング、ミドルの個人競技でも、いろいろな国旗に混じった位置に日本が入ることが出来ました。これは前回に比べ胸を張れる点です。
そして、リレーでは、男子1走の尾崎が34位(49チーム中)という快走を見せ、それ以降の三谷と深田も踏ん張ることで、49チーム中の42位、完走28カ国中で24位となりました。
アメリカ、クロアチア、アイルランドなど、去年は背中も見えなかった欧米勢に混じって、しっかり舞台の中で走ることができたのは、大きな収穫だったと思っています。
そして、コミュニケーションやバンケットでも・・・・
この到達点は、世界のレベルからすると小さなものかもしれません。
ですが、ここ数年、というか21世紀に入ってからの10年近く、じわじわと差が広がりつつあった世界との距離において若干の「希望」が見えた、と考えるのは、いささかポジティブに過ぎるでしょうか。
もちろん、今回選手たちが持つ実力が出し切れたとは到底思っていません。
実際、与えた目標に対して、十分こなしてくれるだけのポテンシャルを選手皆が持っていた、と今でも考えていますし、それを出し切れなかったのは、選手の能力ではなく、過程とコーチングの問題であったと思っています。
具体的に上げるならば、やはり日本での基礎技術の習得の徹底が十分でなかったことが、現地での課題解決への不安要素として残ってしまったこと、また本番のレースの傾向について、特にミドル予選についての戦略が十分でなかったこと、さらにロング種目におけるダメージを、ミドル予選までに十分払拭できなかったことなど、スタッフ側の未熟な面についても、大きく反省しなければならない部分です。
さらに、昨年同様ジュニアの難しさを感じたのは、モチベーションの持たせ方です。
昨年、尾崎が個人戦全てでDNQという結果に終わり、実力を出し切れずに終わりましたが、今年も女子の宮川が2種目で記録を残せないという結果になりました。
去年・今年の2人に共通しているのは、最初のスプリントで信じられないポスト飛ばしをしてしまい、そのショックから抜けきれずに引きずり、なかなか自分のレースができなかったという点です。
また2回目の挑戦であった深田と近藤についても、多くの種目で実力を出したとは言い切れ無いレースをしてしまっています。
「実力がない」といえばそれまでなのですが、ジュニア特有のメンタル面の弱さとこうした舞台での経験の少なさから生じた結果では、とも考えています。
幸い尾崎は今年良いパフォーマンスを出したこと、また宮川、深田、近藤も来年以降チャレンジのチャンスがまだまだあることから、こうした経験を次に活かせることと期待しています。
以上、あくまで結果についてですが、コーチとして評価と総括をさせていただきました。
もちろんこの評価は主観的なものであり、異論等あるかと思います。ご意見などありましたら、お寄せください。
また、実際のレース内容や取り組みそのものへの評価、選手自身における評価などは、また報告書などで改めてさせていただきたいと思っています。
最後に、このブログの読者を含め、チームを応援していただいた皆様、また合宿や練習会、募金なども含めご協力していただいた皆様、そして何よりも選手たちをバックアップしていただいた選手のご家族や所属クラブの皆様にもお礼を述べさせていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。
来年以降もジュニアチームの挑戦は続きます。みなさまのご協力と応援、よろしくお願い致します。
ジュニアコーチ 国沢五月
今回のJWOCは、近年の「経験」としてのJWOCから、「強化」としてのJWOCへと大きく舵を切った初年度の大会でした。
私自身昨年のJWOCには付き添っていたものの、代表コーチとして全体の舵取りをするのは、はじめての経験でした。
さらに世界と闘うためのジュニア「強化」という課題は、これまで日本のOL界では全くと言っていいほど検討されてこなかった部分であり、手探り感は否めない運営でしたし、引継いだのがこの3月だったということもあり、十分に準備ができたとは言えませんでした。
しかし、その中でも2次選考方法やその後の合宿、AsOCへのチームとしての参加など、「強化」という点を打ち出し、様々な取り組みを短期間ながら行えてきたと考えています。
具体的には
・例年に比べ、本番に類似したテライン&必要な技術を意識したトレーニング
・AsOCなどの合宿を通して、代表としての「意識」や「一体感」の醸造
・メンバー選考における枠組みの見直し
・U-20強化選手を創設し、強化の幅を広げる
などを行って来ました。
さてそうして臨んだJWOC本番。チームとして考えていた目標は以下のとおりでした。
・ミドルB-finalにて一人でも多くの選手を出場させること(男子)
・リレーにおいて、昨年より1つでも上の順位を狙う。
・ウムスタートの回避。
またチームの中でのトップレベルの個人には個別に以下のような目標を与えていました。
・得意種目において、全体の半分の順位を狙う。
以上の目標は、正直「日本チームを応援したい」と考えている人々から見ると、あまり魅力的とは思えない目標であったことは理解しています。
しかし、
・昨年B-finalのボーダーにすら最も近い選手で7分あったこと、
・リレーでも1つ順位をあげるには10分、2つ順位を上げるには20分という差があり、勝負という観点から取り残されていたこと、
・個人順位も100位(男子150人中、女子120人中)の壁を誰も切ることが出来なかったこと、
などを考えると、適切な目標であると考えていました。
さらにそれだけでなく全員に言っていた大きな目標として
・海外選手と同じ舞台に立つこと
という話をしていました。
これは昨年、JWOCという独特の空気に飲み込まれ、自分のレースができない選手が多くいたこと。
また現実の順位として、底辺に日本選手が固まり、外国選手と競っている感覚がなかったこと。
それにとどまらず、コミュニケーションやバンケットなどレース以外の面でも十分に海外選手と交流をもできなかったこと、など、あらゆる面で「内向き」な日本人の持つネガティブな状況やメンタリティーから脱却したいという気持ちの現われでした。
今大切なのは彼らに勝つことではない。まずは同じ舞台に立ち、競いあったと言えるようにしたい。
この10年で取り残されてしまっていた私たちが始めなければならなかったのはそういうところからでした。
さて、そうした点を踏まえての目標の達成度は・・・
まず1点目の男子ミドルB-final進出者については、残念ながら0でした。
一番近かったのは、45位近藤の2分19秒差でした。
2点目のリレーの順位に付いては、
・男子は前年30位(完走31チーム)から24位(完走28チーム)と大幅躍進。
一方で女子は残念ながら22位(23チーム)から23位(23チーム)と後退してしまいました。
その一方で、3点目のウムスタート回避は、
・男女3チームともウムスタートにはならず。
昨年全チームがウムスタートだったことより改善されました。
そして最後の全体の半分の順位についてですが、
・目標を達成した選手は残念ながらいませんでした。
一番好成績をあげたのは、女子スプリントでの星野の72位(完走110人)でした。
という結果でした。
これを客観的な評価すると、4つの目標について2つの目標達成ということで、50点というところでしょうか。
しかし私自身は、このチームにもう少し高評価を与えてもいいかと思っています。
一つは、B-finalについて、十分な可能性を示せたこと。
近藤だけでなく、宮西や三谷もB-finalまであと3分というところまで来ていました。
そしてトレキャンではこの3人よりも良いタイムを出していた尾崎と深田のポテンシャルを考えると、ほとんどが十分突破の可能性があったこと。最もボーダーから遠かった深田のタイムでもボーダーから10分であり、逆にに去年ボーダーから最も近い選手が7分(これも深田)だったことを考えると、全体のレベルアップは間違いありません。
次に半分の順位という点ですが、目標は達成できなかったものの星野の72位という順位は過去のJWOC女子スプリントでの最高成績です。
また男子スプリント近藤の106位と三谷の108位(148人中)、男子ロングの尾崎の116位(147人中)、またミドルはC-finalですが、尾崎10位、三谷13位、深田21位(52人中)という成績も、これまでからすれば決して悪い結果ではありません。
そしてなによりも、「海外選手と同じ舞台に立つ」という点においては、もちろん100%ではないですが、多少は目標を果たせたのではないかと思っています。
実際、スプリント、ロング、ミドルの個人競技でも、いろいろな国旗に混じった位置に日本が入ることが出来ました。これは前回に比べ胸を張れる点です。
そして、リレーでは、男子1走の尾崎が34位(49チーム中)という快走を見せ、それ以降の三谷と深田も踏ん張ることで、49チーム中の42位、完走28カ国中で24位となりました。
アメリカ、クロアチア、アイルランドなど、去年は背中も見えなかった欧米勢に混じって、しっかり舞台の中で走ることができたのは、大きな収穫だったと思っています。
そして、コミュニケーションやバンケットでも・・・・
この到達点は、世界のレベルからすると小さなものかもしれません。
ですが、ここ数年、というか21世紀に入ってからの10年近く、じわじわと差が広がりつつあった世界との距離において若干の「希望」が見えた、と考えるのは、いささかポジティブに過ぎるでしょうか。
もちろん、今回選手たちが持つ実力が出し切れたとは到底思っていません。
実際、与えた目標に対して、十分こなしてくれるだけのポテンシャルを選手皆が持っていた、と今でも考えていますし、それを出し切れなかったのは、選手の能力ではなく、過程とコーチングの問題であったと思っています。
具体的に上げるならば、やはり日本での基礎技術の習得の徹底が十分でなかったことが、現地での課題解決への不安要素として残ってしまったこと、また本番のレースの傾向について、特にミドル予選についての戦略が十分でなかったこと、さらにロング種目におけるダメージを、ミドル予選までに十分払拭できなかったことなど、スタッフ側の未熟な面についても、大きく反省しなければならない部分です。
さらに、昨年同様ジュニアの難しさを感じたのは、モチベーションの持たせ方です。
昨年、尾崎が個人戦全てでDNQという結果に終わり、実力を出し切れずに終わりましたが、今年も女子の宮川が2種目で記録を残せないという結果になりました。
去年・今年の2人に共通しているのは、最初のスプリントで信じられないポスト飛ばしをしてしまい、そのショックから抜けきれずに引きずり、なかなか自分のレースができなかったという点です。
また2回目の挑戦であった深田と近藤についても、多くの種目で実力を出したとは言い切れ無いレースをしてしまっています。
「実力がない」といえばそれまでなのですが、ジュニア特有のメンタル面の弱さとこうした舞台での経験の少なさから生じた結果では、とも考えています。
幸い尾崎は今年良いパフォーマンスを出したこと、また宮川、深田、近藤も来年以降チャレンジのチャンスがまだまだあることから、こうした経験を次に活かせることと期待しています。
以上、あくまで結果についてですが、コーチとして評価と総括をさせていただきました。
もちろんこの評価は主観的なものであり、異論等あるかと思います。ご意見などありましたら、お寄せください。
また、実際のレース内容や取り組みそのものへの評価、選手自身における評価などは、また報告書などで改めてさせていただきたいと思っています。
最後に、このブログの読者を含め、チームを応援していただいた皆様、また合宿や練習会、募金なども含めご協力していただいた皆様、そして何よりも選手たちをバックアップしていただいた選手のご家族や所属クラブの皆様にもお礼を述べさせていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。
来年以降もジュニアチームの挑戦は続きます。みなさまのご協力と応援、よろしくお願い致します。
ジュニアコーチ 国沢五月


