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ゲーテの植樹した銀杏の木の案内板

ドイツでは、銀杏は樹木としても貴重であるばかりか、銀杏のハーブティーが健康茶として販売されている。特に美味とはいえないが、体に良いので試飲してみるだけの価値はある。また大きな町のマルクト広場では銀杏の苗木を販売していることもある。最初は小さくても、常に心にかけていればやがては大地に根を張った大樹となる・・・

銀杏の木

 
Gingo Biloba

Dieses Baums Blatt, der von Osten
Meinem Garten anvertraut,
Gibt geheimen Sinn zu kosten,
Wie's den Wissenden erbaut.

Ist es ein lebendig Wesen,
Das sich in sich selbst getrennt?
Sind es zwei, die sich erlesen,
Dass man sie als eines kennt?

Solche Frage zu erwidern,
Fand ich wohl den rechten Sinn;
Fuehlst du nicht an meinen Liedern,
Dass ich eins und doppelt bin?


  いちょう葉

東の那よりわが庭に移されし
この樹の葉こそは
秘めたる意味を味わわしめて
物識るひとを喜ばす

こは一つの生きたるものの
みずからのうちに分かれしか
二つのものの選び合いて
一つのものと見ゆるにや
       
       (小牧健夫訳)

ゲーテはここイエーナの地にて銀杏を植樹した。その銀杏が今や大木となっている。私は樹木の生命力に感動しつつ、しばし大樹を前にゲーテの遺した銀杏と詩を想いつつしばし佇む・・・

旅人の夜の歌

山小屋の側面にはこの詩を刻んだプレートが取り付けられてある。内部にはドイツ語の原詩や日本語、英語、中国語などに訳された詩が展示されてあり興味深い。木造2階建てのこじんまりとした作りだが、どことなく落ち着く。ゲーテ亡きあと、残念ながら火災に遭い、現在の山小屋は復元されたものだ。内部から窓を通して観た外の景色は、イルム公園のガルテンハウスと同じく印象的だった・・・

まて暫し

かれこれ一時間ほど歩くとめざす山荘にたどりついた。ここはゲーテが日々の喧騒から抜け出し、安らぎと憩いを求めて来たところだ。この場所に感動したゲーテは次のような詩「旅人の夜の歌」を書いている。


Wandrers Nachtlied

Ueber allen Gipfeln
Ist Ruh,
In allen Wipfeln
Spuerest du
Kaum einen Hauch;
Die Voegelein schweigen im Walde.
Warte nur, balde
Ruhest du auch.

旅人の夜の歌

なべての峰に
憩いあり
なべての梢に
そよとの風も
殆ど無し
鳥は森に黙す
待て やがて
汝も憩わん

自然の懐の中で、自然と一体感を持つことが少なくなった現代人と言われて久しい。それに対する警鐘の詩と捉えることもできよう。一方で有限の生が程なく尽き、何人にも訪れる死を象徴的に書いた詩であるとも云えよう。周囲は緑に映えた森林だけだった。昼間だというのに森閑とした中で、ここにいるのは私一人だった・・・

ゲーテ遍歴街道

ゲーテは晩年に至るまで好んで徒歩旅行をした。これも82歳まで生きることができた一因だろう。ドイツチューリンゲン州にはゲーテの足跡を伝えるゲーテ遍歴街道がある。この山間の道はキッケルハーン山の頂上に通じる。その道中にゲーテが寝泊りした山荘が見晴らしのいい場所にある。なだらかな道であった。徐々に視界が開けてくる。行き交う人はほとんどいない。燦燦と輝く炎天下、私はただひたすら山荘をめざして歩いた・・・

ガルテンハウス

ゲーテはガルテンハウス周辺の花壇作りに余念がなかった。また、この公園はゲーテが設計に携わったという。公園内は緩やかにイルム川が流れている。今でもゲーテの自然に寄せる精神が息づいているようだ。日々の公務に疲れたゲーテはこのような環境に理想的な生き方を求めていたという・・・<

イルム公園

あの文豪ゲーテがしばし生活したガルテンハウス。2階から窓を通して観た公園は絵画的だった。広々とした公園には人の姿もほとんど見かけない。読書に、ジョッギングに、散策に、ゲーテとの出会いに、そして自分との出会いに・・・