銀杏の木
Gingo Biloba
Dieses Baums Blatt, der von Osten
Meinem Garten anvertraut,
Gibt geheimen Sinn zu kosten,
Wie's den Wissenden erbaut.
Ist es ein lebendig Wesen,
Das sich in sich selbst getrennt?
Sind es zwei, die sich erlesen,
Dass man sie als eines kennt?
Solche Frage zu erwidern,
Fand ich wohl den rechten Sinn;
Fuehlst du nicht an meinen Liedern,
Dass ich eins und doppelt bin?
いちょう葉
東の那よりわが庭に移されし
この樹の葉こそは
秘めたる意味を味わわしめて
物識るひとを喜ばす
こは一つの生きたるものの
みずからのうちに分かれしか
二つのものの選び合いて
一つのものと見ゆるにや
(小牧健夫訳)
ゲーテはここイエーナの地にて銀杏を植樹した。その銀杏が今や大木となっている。私は樹木の生命力に感動しつつ、しばし大樹を前にゲーテの遺した銀杏と詩を想いつつしばし佇む・・・
まて暫し
かれこれ一時間ほど歩くとめざす山荘にたどりついた。ここはゲーテが日々の喧騒から抜け出し、安らぎと憩いを求めて来たところだ。この場所に感動したゲーテは次のような詩「旅人の夜の歌」を書いている。Wandrers Nachtlied
Ueber allen Gipfeln
Ist Ruh,
In allen Wipfeln
Spuerest du
Kaum einen Hauch;
Die Voegelein schweigen im Walde.
Warte nur, balde
Ruhest du auch.
旅人の夜の歌
なべての峰に
憩いあり
なべての梢に
そよとの風も
殆ど無し
鳥は森に黙す
待て やがて
汝も憩わん
自然の懐の中で、自然と一体感を持つことが少なくなった現代人と言われて久しい。それに対する警鐘の詩と捉えることもできよう。一方で有限の生が程なく尽き、何人にも訪れる死を象徴的に書いた詩であるとも云えよう。周囲は緑に映えた森林だけだった。昼間だというのに森閑とした中で、ここにいるのは私一人だった・・・
