キリスト教系宗教法人「エホバの証人」の信者の両親が子供に対する輸血を拒否したため死亡に至った事件で、高等司法裁判所(STJ)の判事2人は殺人罪には該当しないとの判決を下した。13日付フォーリャ紙が報じた。
1993年当時13歳だったジュリアナ・ダ・シルバさんは白血病を患いサンパウロ州サンビンセンテ市内の病院に入院したが、両親の輸血拒否により2日後に死亡した。サンパウロ州司法裁判所が2010年に故意の殺人と判決を下したが、両親はその後STJに上訴していた。
STJのセバスチャン・レイス判事は「医者は医学倫理に従い両親の意思とは切り離して輸血を実施すべきだった」としながらも、両親が殺人罪に該当しないとする判決を読み上げた。
まだ別の判事2人の公判が残されているが、アルベルト・トロン弁護士は「今回の判決は、宗教の自由と医者が生命に対して果たす義務を再確認させたという意味で歴史的意味を持つ」と語っている。
米国で1884年に設立されたエホバの証人はエホバ神(YHWH)を唯一神として崇拝し、「神の王国」の確立を支持している。偶像礼拝や国家礼拝を禁止しているため国家斉唱や国旗への敬礼を行わないほか、血液を神聖なものとする旧約聖書の教えに基づき輸血も拒否しなければならないといった信仰上の信念を持っている。
2014年8月14日 サンパウロ新聞