チーターのLOVE死す! | JWC NEWS

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JWC(NPO法人ジャパンワイルドライフセンター)は、
野生動物の保護を目的として
1990年に設立した野生動物保護団体です。

JWCでこれまで『チータープロジェクト』のシンボルとして、保護を続けてきた。雌チーターLOVEとそのファミリーでしたが、想像を絶する最悪の悲劇的な結果になってしまいました。


当初5頭いたLOVEの子供達は、昨年の4月に1頭がいなくなり、更に10月になって一頭がおそらくバッファローに踏み潰されて死んでしまいました。死体はすぐにハイエナとセグロジャッカルによって片付けられてしまいました。更に今年は、温暖化の影響か雨季の降水量が例年をはるかに上回り、マサイマラは水没しそうな勢いになりました。

リサーチキャンプとしてテントを張っていたポイントは、完全に水没しテント撤収を余儀なくされてしまいましたし、リサーチオフィスも雨漏りが激しく、機器が水をかぶったり、サバンナの水没で逃げ場を求めてやってきたネズミたちがオフィスで大発生してしまい、家具や食料品にも大きな被害を受けてしまいました。また、マサイマラ周辺の道路も所々で水没して、アクセスも悪化する一方であったため、マサイマラからの一時撤収をかけておりました。そんな矢先のアクシデントでした。
何日も激しい大雨が降り続けた後、ようやく天候が回復した2月13日にレンジャーたちは、LOVEと一頭の子供チーターが、ケガをしているのを確認しました。
 LOVEは左前足に、子供は右後ろ足に深い傷を負っていました。当初レンジャーたちは密猟者によるくくりワナが原因ではないかと疑っていましたが、我々は子供の一頭がハイエナに背後から襲われて足に噛み付かれ、それを守ろうとしてLOVEが、ハイエナに向かっていって、前足を噛まれたのだと判断しました。その後、再び大雨になってマサイマラに入れなくなっていたところ、現地のレンジャーから、なんとLOVEが怪我が原因で死亡したというレポートが入ってきたのです(2月22日)。

 前足に怪我を負っている子供も衰弱がかなり激しいようです。母親を失った子供のチーターはそのまま放置すると100%全滅してしまいます。彼らが取り残されたエリアが、JWCのリサーチテリトリーからは離れており、その自治区のレンジャーが保護するかどうかを検討中とのことです。我々としては、保護観察を続けてきたファミリーだけに、できる限りの協力は惜しまないように対応して行くつもりでいます。

20070301