備えない人々 | 数珠のブログ

備えない人々

この業界は…という話は、経験を積むにつれ、誰しもが耳にする。

耳にするだけではなく、いつしか自ら発し、業界特有の習わしに

あーでもこーでもとなる。

そしていつしか、客観視しているつもりが同じ穴のムジナというのがお決まり。


あれが良いと聞けば取り入れ、情報の上位に立つと情弱と卑下をする。

自分だけはと思いながら、場面場面で損をしないよう心がけ、

自らが賤しいことに気づかない。

得体の無いもの追われだし、本質を見失っていく。


こんな経験は皆様あると思う。


私は過去に、ちょっとした処分をしたことがある。

まずは、高級時計を売りとばし、金のかかる贅沢を控え、消費を同時に抑えた。


もちろん、きっかけは厳しい状況に巻き込まれたという外部要因もあったが、

それも己の在り方故と、鎧を捨てブッタ切った。


幸い仕事がちゃんとあったので、今のうちにと『氷河期』の準備・シミュレーションを

先じて実行したのだ。


他にも例に挙げると、アルバイトの面接に通った。

正確に言うと、採用されても空いた時間で可能、もしくは派遣の登録だった。

それらはすべて、違う業界だった。


そこで世間や年齢の厳しさを思い知ることになる。

いくらキャリアや能力があっても、違う畑に行けば只の人。

年を食ってゼロから(縁故やツテなしでは)では、この御時勢甘くは無いのだ。


そして、今の仕事に本当に感謝した。

パチンコ業界になれると、時給800円の有難味なんて解らないものだから。


大きな企業で働いている訳ではないので、金を払って教えて貰うようなことは

出来ず、自ら体を張って馬鹿な頭を叩きなおしてきたのだ。


なんでこんなことを書くのか…

認識が甘い方(特にパチンコ・スロットバブル世代)が非常に多いからだ。

それを見てきた人間にもいる。


経営者だけではなく、幹部と言われる雇われ(キツイ言い方だが)の方にも多いのだ。


ちょっと偉くなると、着る服をはじめ装飾品が変わってくる。

人の出来ていない御仁になると、飲む回数や場所・酒など遊びが変わってくる。


そんなに偉いのか?

どれだけ続くのか?

と問いたい(まるでキリギリスを見ているような錯覚)。


兵だけが夢のあと…


多くの諸先輩が恨みつらみを残し、まだまだと言われる年齢で去っていった現実。

雇われであれば、例え収入が増えたとしても、そのまま50を過ぎてそこに居る確率は、

そこまで登ってこれたことより、遥かに小さいと思う。


たかだか戦後5・60年の業界で、社員として幸せにまっとうした人間は、

驚くほど少ないのだ。


今は、生き残れるかどうかが試されている。


現実の世界では、ドラスティックな審判の時なんて山ほどある。


じわじわと危機感を覚えるのなら、綺麗な革靴を捨てウォーキングシューズで

現場に立った方が、将来のためにもなる。


誤解を恐れず言えば、裸一貫になった位の覚悟が要求される時代になったと

気付かねばなるまい。


精神論を解くつもりは無い。

前例のない変化に直面した時、判断基準を隣やよそ様に…これで潰れた人間は多いのだ。


追い込まれるより、自ら先んじての方が、遥かに苦しみは少ないのだ。


少し前になるが、場違いな歓楽街で酒の席にお供した機会があった。


某業界紙で頻繁に顔が出る、有名業界人とすれ違った。

着飾ったホステスを連れて赤ら顔。

よく見かけると聞いて、私は自分からはこの場所には来たくないと思った。



ま…


それもこれも、自分が馬鹿野郎だった経験があるから言えることなのだが。