私たちダンサーが現在にこだわり続けるのは、いつ踊れなくなるかわからないからだ。
いま現在このイマをどれだけ大切に過ごせるか、それがダンスだと思ってきたが、あらためて確信した、させられた、さすがと思った。
言葉を失うときは新しい言葉が始まるときなのかもしれない、そんな感覚も湧いた。
ダンスは、踊る肉体は、未来の言葉のようだ。
アレクサンダー・エクマンとパリオペラ座バレエ団による傑作『PLAY』東京公演の千秋楽を観ることができた。
開演前からソロが始まりカーテンコールでは観客席にまでダンサー達が入って共に踊り遊ぶ。
何もかもダンスで埋め尽くされ、いまこのいまを感じ歌い語り踊ること、喜怒哀楽、その切実さが突き刺さって泣けた。
第一部の最後に、空中から落下する6万個の緑のボール、それらが波になり広がり緑の海となり、そのなかに飛び込み落下しまた再起して舞うダンサーたち、倒れては立ち上がる肉体から強烈な垂直の力が発露される。
その余韻を味わう20分休憩があけて始まった第二部冒頭の凄まじい静寂シーンには息を呑んだ。
この一連のシーンを臍に展開された全ての出来事に心踊らされた。
踊りに踊らされる、これこそダンスの素晴らしさ。
静寂、爆音、グルーヴ、運動、反復、解放の連鎖、、、
これを見つめ聴き楽しみながら過ぎゆく時が愛おしくなっていった。
二度とないと思える瞬間だけで紡がれた凄い作品は、とても幸せな時間を与えてくれた。
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