僕らは時に静けさを求める。なぜなのだろう。

 

静けさのなかで、いろんな思いや語り話してきた言葉を整理して、新しく始め直したいのだろうか。あるいは、喪失してしまった言葉を取り戻すために、ほんの少しの静けさを求めてしまうのだろうか。

 

言葉という言葉が壊れて消え去ったあとに、ただただ沈黙だけが轟きわたっている場所、そんな風景が、あるとき、心に浮かんだ。

 

そのようなところから始まったのが前回公演(2019年秋)の作品で、それを通じて、僕は「言葉が壊れたあとの光景」をイメージし、戦慄し、かつ、なぜそのような光景を自分は垣間見てしまうのか、考え始めてしまった。

 

同時に、その上演から、新たな言葉の誕生について、妄想が拡大し始めた。

 

ダンスは越境する言葉とも言える。神の怒りにふれて人類は言葉を分たれたというが、それ以前の言葉が、つまり音声や文字によらない言葉が、ダンスという行為で祖先から伝わっているのかもしれないと思うことも、時にある。

 

今、7月に向けて制作中の新作ダンスには「言葉の誕生」に、いや、もっともっとさかのぼってあるところの、「誕生前の言葉」に、どこかで関わってみたいというような気持ちが、影響しているかもしれない。

 

 

 

 

 

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stage 櫻井郁也/十字舎房:公式Webサイト

舞台活動のご案内です。ただいま次回公演(2021年7月)についての開催情報を掲載中です。

 

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