新作はつねに過去作と関連している。明日が昨日と深い関わりをもつように、、、。
踊りは現在そのものに関わるが、同時に、過去の累積が眼に見えるのも踊りと思う。いつもアタラシクありたいと思うがしかし、かつてをなくすることは、僕の場合は決してできない。肉体と関わることは、その肉体に刻み込まれた過去と深く関わり、骨の奥の闇を外光にさらけてゆくことにも思える。
いま稽古中の新作『沈黙ヨリ轟ク』には、関連深い過去作が二つある。一つは、こないだ写真(リンク)を掲載した『方舟』であり、震災直後で放射能のことを意識せざるを得ない状況から出た踊りだった。もう一つは『弔いの火』という、原爆70年忌の長崎に捧げた踊り。いづれも、この場所と命の重量に関わるから完結はしない。その力の波の新たな姿が、今回の新作『沈黙ヨリ轟ク』に出ればと模索している。
今作は、特定の出来事から想を得たのではなく、2001年以後の社会状況や様々な事件や日常のなかで感じてきた痛みや抗いの気持ちの累積蓄積堆積が、舞踊衝動に結びついている。
一点が破裂するのではなく、点と点が線につながり、その線から何かが滲み出て空間に広がってゆくような、劇的なわめき声でなく、ささやきのような、さらに語り得ないものを語ろうとする沈黙のような、振れ揺れ響き静寂に、なればいいのにと思って稽古をかさねている。
くわしい文章をHPに掲載(リンク)しているが、それはクリティカルなものではないし、だれかへのなにかへの意見でもない。言葉には結晶しないものが踊りだとすれば、その文章は踊りの出発点を書いたのだと言える。
感情の積み重なり、現在進行形で積み重なり続けている感情の層、曖昧な、数量化できない、言説化できないもの。それらを原因力とする身の震えや揺れ。声のない叫びのような、身体の奥底から湧き出てくるものに、今回の作品が成れば、と、いま思っている。
どうか、さて。
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OPEN !!
11/9〜10 plan-B(くわしいご案内・チケット情報など、上記LINKよりご閲覧ください)
SAKURAI IKUYA DANCE SOLO 2019 :9th-10th Nov.
(detail and ticket information)