予感が、あるいは予兆が、
踊りの衝動にむすびつくことがある。
今回の作品『トラ・ラ・ラ』もそのひとつと言える。

現在この一瞬の、その次に、、、という、そこに強く魅力を感じる。
予感とか予兆というやつには、むかしの経験よりも現在いま感じていることよりも、
つよく神経や筋肉を刺激するような性質があるのかもしれない。
 
幼時の記憶をもとにしたという名作ダンスを観たことがあったが、
僕の場合は、なぜか過去や思い出はなかなか踊りの衝動にむすびつきにくい。
もう起きてしまった出来事に対して、すでに経験したことに対して、
なかなか体は熱くなれないのだろうか。
きのうの私はもうどこにもいないからだろうか。

過去の感情を再生産している感覚があると、たちまち蕁麻疹のような不快が出てくる。
さかのぼることの不快。あれは何なのだろうかとも思う。

やはり、感覚というものは、これから何が起こるのかということに対して、
つまり未知の未来に対して、鋭くなってゆくように出来ているものなのだろか。
(櫻井郁也)


櫻井郁也の4月公演「トラ・ラ・ラ」制作日誌からの掲載です。
本番まで一ヶ月を切りました。
ただいま作品はダンスリハーサルに加えて、音楽パートのレコーディングに入っています。
公演の詳細、作品イメージ、チケット情報などは、下記webサイトにて。
みなさま、ぜひ、ご期待ください。(十字舎房・制作部)
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stage 公演サイト
2019年4月6〜7日:東京
櫻井郁也ダンスソロ新作『トラ・ラ・ラ』