ベルトルッチの古い映画で『暗殺のオペラ』が観れるというので行った。
長いあいだ見逃していた。好奇心があった。
タイトルロールの絵も音楽も痙攣的で、これはしめた、と思った。そして始まった途端に迷路にまよいこんだ。
眠気が来るがドキッとして目覚める、しかしまた、、、。という周期のなかで、脳みそに快楽物質でも発生するのだろうか。
少し小さめの画面のなかの、がらんどうの町。少しわかりづらい展開と、溜め息が出るような写真美。混乱と圧迫感がそこはかとない。全てが異様に現実的なのに、どこかうたがわしい。
登場人物は少ないが簡単に感情移入できない。場所の変化はほとんど無いのに、ここはどこか、と、頻繁に思う。この町はどこにも無いのだろう、いや、最初から存在してさえいなかったのかもしれない。とも思えてくる。
人々が頻繁に食べる西瓜の赤色。草の色。
何もない、と思える瞬間と、すべてがすべてのまま、と思える瞬間が、混在する。
現実と非現実が、あるいは存在と虚無が、相互に浸透して対立しない。
観ているあいだ、ずっと何かを考えたり、想像していることができる内容だった。
推理劇の体裁で、テーマにはご存知の通りファシズムに対する思索がからむ。ファシズムというのは突如襲いかかってくるのではなくて、気がつかないうちに自分たちで育ててしまっているものだと思う。気がついたら、遅い。ということが世に沢山だけれど、ファシズムもそのひとつかもしれない。放射能とも似ている。たまたまそんなことを思う。いつしか映画は現実をとびこえている。
物語もテーマも主張もあるのだけれど、理解を迫られる感触はない。だから、観ながら多方面にはみ出すこともできる。この映画がきっかけとなって始まる思考もあるのではと思う。
こういう映画はめったにないと思う。原作はボルヘスだ。
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NEWS
櫻井郁也ダンスソロ新作公演:『白鳥』9/29.Sat.~30. Sun. 2018
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長いあいだ見逃していた。好奇心があった。
タイトルロールの絵も音楽も痙攣的で、これはしめた、と思った。そして始まった途端に迷路にまよいこんだ。
眠気が来るがドキッとして目覚める、しかしまた、、、。という周期のなかで、脳みそに快楽物質でも発生するのだろうか。
少し小さめの画面のなかの、がらんどうの町。少しわかりづらい展開と、溜め息が出るような写真美。混乱と圧迫感がそこはかとない。全てが異様に現実的なのに、どこかうたがわしい。
登場人物は少ないが簡単に感情移入できない。場所の変化はほとんど無いのに、ここはどこか、と、頻繁に思う。この町はどこにも無いのだろう、いや、最初から存在してさえいなかったのかもしれない。とも思えてくる。
人々が頻繁に食べる西瓜の赤色。草の色。
何もない、と思える瞬間と、すべてがすべてのまま、と思える瞬間が、混在する。
現実と非現実が、あるいは存在と虚無が、相互に浸透して対立しない。
観ているあいだ、ずっと何かを考えたり、想像していることができる内容だった。
推理劇の体裁で、テーマにはご存知の通りファシズムに対する思索がからむ。ファシズムというのは突如襲いかかってくるのではなくて、気がつかないうちに自分たちで育ててしまっているものだと思う。気がついたら、遅い。ということが世に沢山だけれど、ファシズムもそのひとつかもしれない。放射能とも似ている。たまたまそんなことを思う。いつしか映画は現実をとびこえている。
物語もテーマも主張もあるのだけれど、理解を迫られる感触はない。だから、観ながら多方面にはみ出すこともできる。この映画がきっかけとなって始まる思考もあるのではと思う。
こういう映画はめったにないと思う。原作はボルヘスだ。
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