「雷が鳴りバケツをひっくり返すような雨に立ち濡れたが、そのあと、にわかにヒグラシが鳴いて、その声をトラックは搔き消し、あとに残る束の間の静かさをハイヒールの急ぎ足がコツコツと乱し、、、という、この町のいつもの音を聴きながら、あゝいいなぁ、音はいいなぁー、と、しきりに思った。

音を聴いていると、なぜだか心の中はシンと静まり返っていく。
そして、とても沢山の感情が込み上げてきて大きな絵のようなものが身体のなかに描かれてゆく。

聴いている。

何かを聴いて、何かを受け止めている。それはとても愛しい感覚だ。
音は自分の中の何かを自由にしてくれるのだろうか。
それとも音は自分の知らない遠い何かを運んで教えてくれるのだろうか。

空々しい言葉に囲まれて、言葉なんか無くなっちまえと思う。
けれどそれでもカラダは声を発してならない。・・・・・・」

今回のタイトルが決まり、チラシなど制作していた頃の振付ノートの一頁だが、
ホームページなどなどに掲載している文章は、これに続くメモから採られた。

何も決めずに空気のなかに立ち、少し踊り、少し考え、次第次第に何かが積もり、また散逸し、という繰り返しから、振付なるものが輪郭を現し、いまソレは「踊り」の発生にむけての導火線の役割を担おうとしている。

あす、あさって、限界まで動いた身体を舞台に供したいと思う。
観手の方々の前にあって、限りなく澄むことが出来るだろうか。

解体や偶発を含む、あらゆるチカラが舞台には降る。

場に、人と、
夜あるいは真空、、、。

舞手と観手の知覚のなかで、いかなる発生が発生するか。現場でしか生まれない場となるだろうか。

意識が張り詰めてゆく。
ふるえるもの全てが増殖してゆく。
まもなく。

ご視線いただけましたら、ぜひ、、、。

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10/29〜30上演!
櫻井郁也ダンスソロ新作公演『緑ノ声、ヲ』
SAKURAI Ikuya Dance Solo ”Voice of Green”
2016.29〜30.Oct.

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※席数の関係上、お早めにお申し込み下さい。



参考:作品歴、ご感想リンクなど