しじまに身を浸して何度も何度もステップを踏み続けたり、カラダを波揺する。湧くまま動き、時には息ごと停止していると、そこに特別な感情が湧かないときでさえ、そのまま、何もない何かを受け止めている感覚が残る。

カラダをたっぷり感じとる時間を、たとえ1時間でも2時間でも過ごしていると、呼吸や鼓動や様々な神経が、空間や時間に延長され結びついている、というこの感覚は、ダンス特有の感覚かもしれませんが、そんな中で、ふと心や頭が軽くなることがたまにあると、なぜか日常でも、起きかかっていた負のスパイラルから抜け出してゆくことが重なったり、壁を感じていた人と楽に付き合えるきっかけが芽生えたり、これは何だろう、なぜだろうと思ううち、ふと思い出した言葉があります。

人間は6つのことしかできません。睡眠、食事、排泄、働く、遊ぶ、生殖、です。この一つ一つに、健康に生きていくための法則がある。

という言葉で、これは広島の原爆にご自身も被爆した医師・肥田舜太郎氏の言葉だそうですが、とても納得でき、僕の中ではダンスのプロセスにも(想像力や技術にも)結びついている気がしてなりません。実際、これらの何れかが不自由に抑えられているときは、稽古であっても踊りも何か不自由な強張ったものになるように感じてならないのです、、、。