スイスの美術家H・R・ギーガー氏が亡くなったのを知った。12日。あの「エイリアン」をデザインした人としてご存じと思うし、撮影されなかったホドロフスキーのデューンのセットデザインも有名だ。
「ネクロノミコン」と題されたギーガーの画集を書棚から取り出し、埃を被ったページをめくった。なかにはエイリアンの原型となった画をはじめ、ギーガーの内部から迸る不穏な重低音が、有機体と機械と闇と液体と骨が渾然となって、こちらに向かってくる。バイオメカノイドと名付けられたイメージは不気味で陰鬱なのに、どこかセクシーでカッコイイ。
ギーガーが描く怖ろしい存在の背後には、近づき難いエロチシズムが潜んでいる。メタリックだが滴るような湿度があって、冷却しながら溶けている。死の雰囲気が漂うのに、生殖や繁殖や分娩の匂いがぷんぷんする。
絵とデザインと漫画と、ポップとゴシックとロックとノイズと、セックスとグロテスクと哲学と宗教と犯罪と、流行と孤高と、内実と表層と、様々な矛盾や異質が滅茶苦茶に封じ込められた「ネクロノミコン」は今観ても一種のカルト経典のように怪しく誘惑的だ。こんなのに影響されてたまるかと抗った記憶がある、つまり揺すられた一冊だ。
また何かデカいことをやらかしそうで気になっていたのに亡くなった。
この人も、、、。と言いたくなるテンポで最近、次々に開拓者たちの訃報が訪れる。溜息と同時に、亡くなってゆく人々への惜別と共に、同時代を呼吸していたことへの思いがひしひしと湧いてくる。時が流れているリアルさが呼び覚まされる。
刺激され、与えられてきた、その幸運を活かしてゆけるかどうか。ラディカルな思考回路と強い意志をもった人々の背中を見つめながら、僕たちは何を学び何を温めてきたのか。問われる時代が始まっている気がする。喪失は新しい時代の予感でもあるのだろう。
「ネクロノミコン」と題されたギーガーの画集を書棚から取り出し、埃を被ったページをめくった。なかにはエイリアンの原型となった画をはじめ、ギーガーの内部から迸る不穏な重低音が、有機体と機械と闇と液体と骨が渾然となって、こちらに向かってくる。バイオメカノイドと名付けられたイメージは不気味で陰鬱なのに、どこかセクシーでカッコイイ。
ギーガーが描く怖ろしい存在の背後には、近づき難いエロチシズムが潜んでいる。メタリックだが滴るような湿度があって、冷却しながら溶けている。死の雰囲気が漂うのに、生殖や繁殖や分娩の匂いがぷんぷんする。
絵とデザインと漫画と、ポップとゴシックとロックとノイズと、セックスとグロテスクと哲学と宗教と犯罪と、流行と孤高と、内実と表層と、様々な矛盾や異質が滅茶苦茶に封じ込められた「ネクロノミコン」は今観ても一種のカルト経典のように怪しく誘惑的だ。こんなのに影響されてたまるかと抗った記憶がある、つまり揺すられた一冊だ。
また何かデカいことをやらかしそうで気になっていたのに亡くなった。
この人も、、、。と言いたくなるテンポで最近、次々に開拓者たちの訃報が訪れる。溜息と同時に、亡くなってゆく人々への惜別と共に、同時代を呼吸していたことへの思いがひしひしと湧いてくる。時が流れているリアルさが呼び覚まされる。
刺激され、与えられてきた、その幸運を活かしてゆけるかどうか。ラディカルな思考回路と強い意志をもった人々の背中を見つめながら、僕たちは何を学び何を温めてきたのか。問われる時代が始まっている気がする。喪失は新しい時代の予感でもあるのだろう。