
3-11。
4年前のこの日から、踊りへの姿勢は自ずと変わらぬわけがなく、それはいまでも果てない問いになっている。
クラスメンバーの顔にもそれは勿論滲んでいて、空気が違うのを感じた。
オイリュトミーのレッスンは、あえて多く語らず、ひたすら淡々と繰り返し踊ることにした。
この日に準備してもらったピアニストと、ナマの合わせ稽古、今季最初。
曲はバッハの無伴奏チェロ1番のピアノ版である。
緻密に選びぬかれた音だけで構成された旋律が、祈るように流れる。
あまりにも有名な音楽だが、とっても深みがあるから何度も練習しても楽しいと思う。
音を鏡のように映しだし、リズムも明快な、美しい踊りを目指したい。
オイリュトミーは良きリズムという意味の名前だが、他者の魂に心耳を澄まして一体化することを目指す、いわば、傾聴の舞だ。
踊ることによって何かを聴きとり、踊ることによって何かを味わう。
くりかえしつづけるうち、ゆっくりと、
からだ全体が何かを呼吸し、わたくしというものが清い水に洗われてゆくようでもある。
詩学、自然学、宗教学、神秘学、建築、教育、農学、社会経済学、あまりにも多岐にわたる提起を遺した思想家シュタイナーが、晩年に草案したのが未来の舞踊としてのオイリュトミーだった。その基本理念が自己表現でなく他者への傾聴だというのは、実に示唆に満ちていると思う。
シュタイナーと同時代を生きた画家ホドラーに、「オイリュトミー」という題名の大作がある。
5人の年老いた男たちが、白い衣をまとって大地を踏んでいる。
歩いてゆく姿だが、どこか佇んでいるようにも見える。
じっと、いつまでも見つめていられる絵だ。
月末上演のソロダンス『サイレントシグナルズ』にも、このホドラーの絵はシモーヌ・ヴェイユの著作とともに強いインスパイアを与えてくれた。
本当に味わい深い絵だから、ぜひ一度ご覧になっていただきたい。
ホドラー展HPに掲載あり。
____________________________
予約受付中
櫻井郁也ダンスソロ新作公演
サイレントシグナルズ
2015年3月28日(土)20:00 29日(日)19:00
会場=plan-B(東京・中野)
くわしいご案内&チケットフォーム
関連フェイスブック
※過去作の動画あり。
Sakurai Ikuya dance-solo ”SILENT SIGNALS”
Saturday, 28th, Mar./Sunday, 29th, Mar.
venue=plan-B:Nakano Tokyo
In the attachement please find the detailed program.
details
