想い繋がる、というような言葉は無いかもしれないけれど、そう言うしか他にない雰囲気が、稽古場の空気を染めていきました。
思うこと、すなわち心の動きがカラダに結びついて身は踊り、踊りを通じて思いは想いとして他者のイマジネーションに結びつき、新たな思いが生まれてゆく。心からカラダへ、カラダから他者の心へ。一つ思いが別なる思いへ繋がり、イメージの世界が紡ぎ出されてゆく。そのプロセスを体験しながら、通じ繋がり会うための身体時空を生み出す技術が、舞踏の稽古では育まれてゆきます。

まずは一人一つの身体に意識を集め、環境と心とカラダを溶け合わせてゆく作業。
呼吸と体のリラクゼーションの関係、立つ行為の心地良さ/カラダの状態を整える仕方、またそれを通して重力と私の関係を感覚すること、そして空間に身を関わること例えば歩行と大地と身体バランスの関係を捉え直す体験をする、眼を閉じて肌の感覚で空間を移動する体験、近づき離れて他者の体温を察知する試み、などなどの基本練習。これらを踊る準備とする。
そして、関係なるものを巡る対話。
そして、具体的に人と、人の動きと、人が感じているなにかと、さらにその瞬間に湧き起こっている思いと関わってゆく体験行為へ。
そんな行為からダンスが生まれてゆくプロセスを味わい、言葉以前のコミュニケーションの原型たるダンスというエネルギー対話、心とカラダと自己と他者と空間と時間と音と風景と、さまざま想像力たくましくしながら、関係を巡る稽古を楽しみました。

人はいつも何かを思ってそこに在る。その思いを身体に反映することから、思いは外側に開かれて「想い/イマジネーション」に、変化してゆく。通じてゆく思いへ、繋がってゆく思いへ。思いを想いに変換する技術が、踊りという名で先祖から伝わっている。ダンス=踊り、なるものは関係の技術でもあります。一方的な表現じゃなく、受けて返す、という、関係のなかでの表現。そこに集中することから、私たちはオープンになって、人生や社会や仕事を、少しづつ幸福に育てることが出来るのではないか、って思います。
ダンスは自己主張の道具ではない、互いに共振して感じあって、共に生きる心身を育てるものだと、確かめつつ稽古は進んでゆく。参加者の一人一人の動きや佇まいや表情を通じて、そう感じました。
素敵な稽古=セッションだったと思います。

きょう稽古場に流した音楽は、武満徹さんの歌曲でした。
明日は晴れかな曇りかな。
そんな歌詞の、柔らかいメロディを踊りながら、柔らかくなってゆく心身が、関わりあって、ダンスの場が生まれていきました。

美しかったです。ありがとう。メリークリスマス!

このクラス、次は年明けて1月14日。稽古場でお待ちしています。

ご案内:西荻ほびっと村学校「舞踏~オドリ入門」