ウソだね、と言いあうときの色気。バカだね、と言いあうときの、ときめき。

鮮やかな映画を観ました。いや、眼で観るというより肌で感じているような時間が流れました。
恋をめぐる映画。喪失をめぐる映画。風と雲の映画。ひとりで観たい映画。人恋しくなる方もいらっしゃるかもしれない。

これから公開されるのだから、ストーリーや何かを書くのは野暮だから、ちょいと上手にご紹介できないけれど、心に少し優しい風が吹きます、この映画は。

『 ニシノユキヒコの恋と冒険』
監督は井口奈己 さん。
ただものではないと思います。

最初の作品8ミリ、4年がかりで創られたとリリースにありましたが、これぜひ観てみたくなりました。気が早いが次回作も、もうはやく観たい。

どちらかというと重厚な映画が好きだったけど、でもこれで軽やかさに開眼したかも、ちょっと嬉しいかも、しれないです。

軽やかでコケティッシュな言葉のやりとり、でもそんなセリフの裏側にポツリと孤独が聴こえそうな気も、、、。
それから、肌の感じが伝わる映像は、くすぐったくて切ないような、、、。

(とちゅう、ネコ熱演あり。要チェック!)

朗らかで淋しい。アイロニカルなのに優しい。
そんなコメディでした。

ラストシーンは本当にデリケートでした。

2時間、恋の吐息と肌の感触。でも、それらは全て失われた恋のこと。失われた肌の触れ合いのこと。死者との記憶なのでした。孤独がすっと横切るのでした。

笑いながら哀しくなって、そういう時にかぎってスクリーンの青空や緑なす樹々が、なんだか美しいのでした。
葉山、鎌倉、横浜、つまり、海辺の街でした。
そこには、ずっと風が吹いているのでした。

2月8日からロードショーとのこと。
公式HP


(12/11、東宝試写室にて)