波をからだに刻んでゆく。
呼吸や血流、内なる波。
それらに大気や樹々や音や言葉からもらった感情の波を、寄り添わせ、溶け込ませて、からだの芯にまで刻みこんでゆくまで、踊る。

そんな作業の積み重ねが、いつしか一個の小さな身体のなかで、魂のエネルギーの火を起こすのではないかしら、と思う。

踊りに基礎を与える波の動き。それは、単なる肉の技術ではなくて、自らを生命として味わい反芻する、魂の呼吸技術と思う。

歩行も波の変化のひとつ。跳躍や旋回もまた波の高まりから起きる。
静かに佇むときさえ、内部の微かな波を柔らかに受けている姿と思える。

私は波。

クラスの稽古を見つめながら、踊る人々のアウラを感じながら、
そんな事を、思っている。