作品をつくっていると、夜に走りに行くことが多い。

夜に溶ける足音。

自分の足音を聴くと落ち着いてゆく。
うわずった気が、体内の地面に近い側に還ってゆくみたいだ。

心拍に近ずこうとする足音。
心拍が追いかける足音。

足音を聴いて、足音と測りあうように一歩一歩、
トントンとすすんでゆくと、
通りすぎてゆくさまざまな思いや考えの速度が、
少しゆるむ。
一日を過ごすなかで経験したことや思ったことが、
感じ直されたりも、
する。

足音は自分自身を振り返るカウントにもなるのかもしれない。

1・2・3・4・5・・・。5・4・3・2・1・・・。

音楽みたいだ。

走っているとき、ちっとも頑張っていない自分がいる。
頑張っていなくても大丈夫な、行為、
気まぐれで、いい(良い)加減の、行為。
プライベート、に徹することが出来る、行為。
健康のためでもなく、身体強化のためでもなく。
だから、つい、走りに行く、、、。

一日の終えかたにもなる。
眠りの前に。
やな事も良かった事も、いったんスカッと忘れる。
眠りやすい。
うつつは、うつつ。ゆめは、ゆめ。
それがリズムにつながる。

作品も、リズムのなかで生まれる。
循環や連続を切断してゆく。
意識に節目をつける。
思っては忘れ、つくっては壊し、得ては捨て、、、。

そんなことのなかで、何というか、自分というものが軽くなる。

いま過ごしているリズム、
自分のからだの風通し、
淡々と走っていると、感覚できる。

さて、そろそろ今夜も。

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