15日本番の新潟公演『むすび・天地礼讃内景』。
東京での最終リハーサルを終え、音のミックスダウンを終了。
声と生活音そして生活を支える仕事の音として糸紡ぎやハタオリや田畑の音。これらの共鳴。
声は創世記の引用句による。そこに打楽器のナマ演奏が重なりダンスと呼び交す。

今回上演する新潟・津南は日本の心を映す風景がひろがる土地のひとつ。
僕らの命をつなぐ米の産地であり豪雪地帯であり。
冬の積雪、時に4メートルにおよぶこの場所にはいまだ地霊の気配がただよう。
そこに眠る木造二層建築のきもの工場跡が今回のステージとなる。

この場所を初めて訪れたのは、芽吹きの季節だった。
織物を扱う工場だったとききながら、柱や壁に触れた。
人の、仕事の、かすかな痕跡があった。
しんと鎮まった空気と、かすかな水の音が、肌を包んだ。
雪どけのあとの大地で、命が入れ換わろうとしていた。

この場所に捧げるダンスに、『むすび』という名を付けた。
むすび、すなわち、産霊、と書く。
別なるもの異なるものが出会い、揺さぶりあい、何かが始まる。
そんなときに、天は産みのエネルギーを働かせるのだと、
そのエネルギーを『産霊』と呼ぶのだと、亡父にきいた記憶があった。

いまは夏の盛り。燃え上がる日差しを、ここぞとばかり緑たちが呼吸している。
死者の集う盆である。そして思い重なる8月15日である。
ここにあるのは、小さなカラダにすぎない、
されど、ひとつのカラダ、ひとつの存在。
その内部では、すこしばかりの祈りと、闇と光が、ダンスを始めようとしている。
その鼓動を、その一歩一踏を、デリケートに運んでいきたいと思う。
このカラダを、この存在を、祓い清めたまえ、と思う。

さて、津南へ。発動である。   (一部、跋文転載含む)
 
 *  *  *  *  *

この公演は、ただいま開催中の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ2012」の一環として行なわれます。世界の現代美術が集います。
以下、企画詳細です。ぜひ、ご注目ください!


______________________________

2012年8月15日(水)

越後妻有アートトリエンナーレ2012大地の芸術祭
櫻井郁也ソロダンス公演 
『むすび ・天地礼讃内景』

in 瀧澤潔展:津南のためのインスタレーション
〈芸術祭作品番号M039〉

会場=新潟県中魚沼郡津南町美雪町 関芳機織工場跡
アートトリエンナーレ2012津南エリア「瀧澤潔展」(JR飯山線『津南』駅より徒歩20分)
問い合わせ=090-9845-1198(公演直通)、025-757-2637 (芸術祭事務局)
時間=13:30/15:30 2回(各15分前より開場)

SAKURAI IKUYA shows new Butoh dance performance
"Musubi" for SOLO
15th.Aug.13:30 and 15:30
Sekiyoshi Factory Miyuki-cho Tsunan-machi Nakauonuma-gun Nigata
Echigo-Tsumari Art triennale 2012 work No=M039
Contact=090-9845-1198

【会場への行き方】
★地図★map★

【自動車】
関越自動車道塩沢石打インターより約35分ルート 
【電車】
・新幹線/越後湯沢~特急はくたか4号/ 十日町~飯山線/津南  
・新幹線/越後湯沢~上越線/六日町~ほくほく線/十日町~飯山線/津南
・新幹線/長野~飯山線/津南
_________________________________________________________________
★あくまで参考ですので、各自、必ず路線案内などでご確認ください。
★芸術祭は非常に広い範囲で多数の展覧会/作品が同時開催されています。多数あわせてご鑑賞される場合は、お車でのご来場をお勧めします。

【関連サイト】
美術家・瀧澤潔
芸術祭ガイド(津南エリア) 
津南町イベントガイド
芸術祭事務局