12月10日に公演する新作ソロの話題、2回目。

《ちっぽけな一個の「からだ」、されど、あまねくものと結ぼれたはむれゆく夢をもった「うつわ」・・・。》

これは、今回のダンスを作っている途中の創作ノートから。

目を奪われるような自然の風景の中で、
それから、この東京の光の渦のただなかで、
ああ僕はとても小さい存在だなあと、ひしと感ずる事しばしばあるのですが、
そんなときにかぎって何故か、まわりの何もかもが無性に愛おしくなり結びついてゆきたくなって
手足を伸ばし踊りたくなってしまいます。
そして踊るための作品がいつしか出来上がってゆくのですけれど、
その稽古というか作業のさなかでいつもいつも出てくるのが
火花みたく粉々になりたいとか風みたくなってしまいたいとか、
そんな欲情が沸々と湧きあがってくる。

限りない軽さとか流動とか、そんなことなのかしら。

ともかく、この個体なるものと周辺のエッジが溶けてなくなっちまえば良いのにと妄想が広がってゆくのです。

そんな感じを、あらためて味わっていて思い出したのが、今回のタイトルにもなった、フランスの名優アントナン・アルトーの「le corps sans organes=器官なき身体」というコトバでした。
まえに書いた2月の野外パフォーマンスのあと、数ヶ月のなかでカタチを現し始めていた踊りに、このコトバを題名として膨らませようと思ったのは、このコトバを遺したアルトーの魂にも、深い共感を禁じ得ないで暮らして来たからでもあります。

作品をリハーサルしながら、すこしづつ、そのあたりのことを書いてゆこうかと思っています。さて・・・。