踊りとは、何と不器用な哲学なのでしょうか・・・。
11月の新作稽古の渦中、そんなことを、思いました。
新作「カラビンカ」は不在の鳥を題した、渇きつつ、あこがれつつ、再生へのステップをさぐるダンスです。
全身の触覚を研ぎ澄ませながら、あらゆるものに触れようとするダンサー=感応の旅人。
闇、光、場所、音、己の肉、想像、妄想・・・。聞き慣れた音から、聴覚を超える音域まで、音楽・音場・響鳴。場所を削り取るような光と闇。ここはどこか、という、謎かけのような美術空間のなかで、虚実の迷宮を舞い踏む肉体が、次第に確かさをさぐりあててゆく。そのようなシチュエーションの踊りをつくりながら、不在の鳥、すなわち実現され得ぬ自由存在を妄想する日々。ダンスは演技するわけにもいかないので、自分自身をそのように追い込んでゆくしかないのですが・・・。
確かさを確かめ続け、つながりへの飢えを飢え続ける作業とも言えるのが、踊りの模索です。暗中模索で虚空や個に向かい合っていると、わずか一歩に100年の孤独が滲みわたってくる感じがあり、かと思えば、奇妙に満たされた一歩が出現したりします。
痛くなるまで床を転げ回ったり、へとへとになるまでジャンプを繰り返したり、馬鹿になったように行うほとんどは、結局は削り取られて板にのる事はないのですが、それでも、一見無駄なような行為を行い、カラダを動かし続けて、ようやく少しだけ何かが見えたりするのです。脳細胞が、スゴい運動量だということですが、
カラダで考えているわけだから仕方がない。
なんだか、膨大なエネルギーを消費しながら・・・、
存在するって何だろう。どうして「ひとり」というコトがあるんだろう。
そんなことを思う、まるで哲学めいた時間が、流れてゆくのです。
僕には、何とも言えぬ不快。
しかし、つきぬけると、
ふと、あらためて、この肌に触れるときの衝撃がおとずれる。
目の前の壁や床に、身を投げたときの確かさが、来る。
ああ、温かい。冷たい。柔らかい。硬い。在るのだ、一緒に・・・・。
迷走する神経が一瞬とらえる、何ともそこはかとない感情。
肌も、神経も、血流も、何かしらと触れあい交流している、これを鮮やかにカタチにできれば・・・。
舞台でも突き抜けることができるでしょうか。
あとひと月。
どこまでも敏感になった神経を、そのままそっと舞台に乗せたい感じです。
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新作案内のサイト&作品写真・映像などをアップしました。ぜひご覧下さい。
11月ソロ公演
写真・映像・english text
11月の新作稽古の渦中、そんなことを、思いました。
新作「カラビンカ」は不在の鳥を題した、渇きつつ、あこがれつつ、再生へのステップをさぐるダンスです。
全身の触覚を研ぎ澄ませながら、あらゆるものに触れようとするダンサー=感応の旅人。
闇、光、場所、音、己の肉、想像、妄想・・・。聞き慣れた音から、聴覚を超える音域まで、音楽・音場・響鳴。場所を削り取るような光と闇。ここはどこか、という、謎かけのような美術空間のなかで、虚実の迷宮を舞い踏む肉体が、次第に確かさをさぐりあててゆく。そのようなシチュエーションの踊りをつくりながら、不在の鳥、すなわち実現され得ぬ自由存在を妄想する日々。ダンスは演技するわけにもいかないので、自分自身をそのように追い込んでゆくしかないのですが・・・。
確かさを確かめ続け、つながりへの飢えを飢え続ける作業とも言えるのが、踊りの模索です。暗中模索で虚空や個に向かい合っていると、わずか一歩に100年の孤独が滲みわたってくる感じがあり、かと思えば、奇妙に満たされた一歩が出現したりします。
痛くなるまで床を転げ回ったり、へとへとになるまでジャンプを繰り返したり、馬鹿になったように行うほとんどは、結局は削り取られて板にのる事はないのですが、それでも、一見無駄なような行為を行い、カラダを動かし続けて、ようやく少しだけ何かが見えたりするのです。脳細胞が、スゴい運動量だということですが、
カラダで考えているわけだから仕方がない。
なんだか、膨大なエネルギーを消費しながら・・・、
存在するって何だろう。どうして「ひとり」というコトがあるんだろう。
そんなことを思う、まるで哲学めいた時間が、流れてゆくのです。
僕には、何とも言えぬ不快。
しかし、つきぬけると、
ふと、あらためて、この肌に触れるときの衝撃がおとずれる。
目の前の壁や床に、身を投げたときの確かさが、来る。
ああ、温かい。冷たい。柔らかい。硬い。在るのだ、一緒に・・・・。
迷走する神経が一瞬とらえる、何ともそこはかとない感情。
肌も、神経も、血流も、何かしらと触れあい交流している、これを鮮やかにカタチにできれば・・・。
舞台でも突き抜けることができるでしょうか。
あとひと月。
どこまでも敏感になった神経を、そのままそっと舞台に乗せたい感じです。
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11月ソロ公演
写真・映像・english text