家の庭の駐車小屋。雨板の経年変化。 | 住宅手帳*新潟のある設計士の物語。

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『豊かな普通の暮らし。』を目指して。
世界を旅した住宅設計士ゆうの日常を綴ります。
フィレンツェで買った真鍮の取手がお気に入り。

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実りの秋ですね。世間は3連休を迎えていますが、皆さんは何をしてこの秋を過ごしていますか。

僕は、この休みに今暮らしている妻の実家の細部をスケッチしようと、ペンを取りました。
妻の実家は新潟県柏崎市の西山町というゆったりとした古き良き田舎にあります。
(ちなみに僕も柏崎市の出身です。)
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家は、築35年以上の昔ながらの日本の民家で、続き間の和室や縁側、広い玄関などとても心がくすぐられます。

それでいて、中越沖地震あと、居間と台所は現代的なLDKに改修され、暮らしやすさや明るさは改善されていて、新旧のいいとこどりといった異色の家になっています。

改修された建築士さんは、主に古民家の再生を手がけられている方で、上手に昔の家の良さを残し、つないでくださいました。

はじめてこの家に遊びに来させてもらったときはとても感動したものです。


そんな実家を「すみずみまでスケッチしてやるぞ!」と、意気込んでいたのですが、
「まずは玄関からだ!」「いや、外観から!」「いや、どうせなら外の駐車小屋から!」と、
良くないこだわり性が出てしまい、結局家までたどり着けず気づいたら庭をスケッチしていました。



実家は、家の外にも学べることがいっぱいです。

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家の外の駐車小屋。
妻入り招き屋根の敷地の勾配にさからわない優しい外観。
(妻入りとは、建物の屋根が折れている面を正面としている様式のこと。→クリック
 招き屋根とは、屋根の先端が建物の中心でなく、どちらかに偏っている屋根のこと。→クリック


この小屋はお義父さんの作業場としても活躍しています。
お義父さんは大工一筋、50年以上の方。
先日は、部屋の一部に木材で製図用の机を作って頂いたり、
たまに、お義父さんの弟子にしてもらっています。

僕は、導かれたようにこの家にたどり着いた気がしました。
この駐車小屋もお義父さんが建てられたものです。
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中に入ると、とても立派な丸太の梁たちが迎えてくれました。

存在感のある羽子板ボルトやかすがい。
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東面の壁の上部には、半透明の板が張ってあり光が入るように考えられています。
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築35年以上の歳をとった越後の雨板の表情がとても素敵です
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新潟の民家の外壁は、雨板(杉)を重ねながら横張りにする「南京下見張り」に、押し縁を縦に打ち付けるのが主流です。
(南京下見張りは他にも「イギリス下見張り」や「鎧張り」などと呼ばれます。板を重ねずに横に張るのは「ドイツ下見張り」です。)

僕はこの、日本の昔からの風景の連続を感じさせる南京下見張りがとても好きです。

学生のころは、「田舎っぽい」とか「農家っぽい」とかあまりいいなとは思っていませんでしたが
、世界一周の旅を始めた頃から、思い出す地元の風景といえば、この雨板の表情でした。

日本の個性を未来に伝えるとても素晴らしいデザインだと思います。

押し縁が重ねられた下見板は、日の光によって濃い陰影を浮かび上がらせます。
また、方位によって日射や風向きが違うため、同じデザインの外壁でも年が経つごとにそれぞれ表情が変わっていきます。
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お義父さんの小屋も方位によって、色の変化に違いがありました。
一番光が当たる東側の雨板は、程よく色が落ち、とても良い風合いに。

北面は、褪色が進み、シルバーグレーに。
(屋根下50cmほども雨が当たらす、塗装が残っていますね。)
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光がほとんど当たらない西面は、まだ黒い塗装が残っていました。
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見ていてとても勉強になります。


黙々とスケッチをしていると、お義母さんが農作業からご帰宅。

そこですかさず前々からお願いしたかった
庭の樹木の先生になって頂きました。

妻の実家の庭にはいろいろな植物がたくさん植えてあります。

その庭の樹木の名前をお母さんにも教えてもらいました。

長くなってきたので、その話はまた次回に。
photo:01


小屋のスケッチ。スケッチは楽しい。
建築士にとって必要な感性を育てる大事な作業。

今日はこれから友人の結婚式の二次会へ。
良い天気になって良かったね!
末永い幸せを願ってるゆうでした。


追記
結婚式はやっぱりいい!幸せを分けてもらいました(^-^)
photo:02