【枚方獣神ヒラリオン・ブレイザー】

エピソード1話【獣神を継ぐもの】


2016年

大阪の北に位置する枚方市、文化と伝統にあふれる街…そこに住む、枚方(まかた)龍士郎がこの話の主人公である。


「獣神様…今日も仲間達をお守りください!」


龍士郎の日課…それは、獣神神社にお参りをすること…

「龍!」
「茜姉ちゃん!」

枚方茜、龍士郎のお姉さんでこの獣神神社の巫女さんである彼女は、陰ながら龍士郎を見守り続けている。

「龍…これ持っていきなさい、獣神神社のお守り。」

「ありがと、茜姉ちゃん!行ってきます!」



しかし、龍士郎を見送る茜の顔は曇っていた。

「獣神様…あの子は、本当に煌翔の意思を継ぐものなのでしょうか…」


その頃、龍士郎はというと……

「……平和やなぁ。」

枚方市内は今日も平和だそう…

「今日は南の方にも行ってみよかな……よっしゃ!」


枚方が向かったのは、御殿山周辺・京阪御殿山駅前の大坂を登ったところにある神社の境内だった。


「ん?」

そこには1人の女の子がいた……

「君…どうしたの?」

その子は泣いていた、理由はわからなかったけれど龍士郎はその子について話を聞いてみることにしました。

「あのね、ヒラカタカヅラの雫を探してるの……」

「ヒラカタカヅラ……って、獣神伝説に登場した伝説の花だよね?、なんでカヅラの雫を探してるの?」

「お母さんがね病気なの……カヅラの雫がないと」

「……お兄ちゃんに任せて!」

龍士郎は言う

「え?」

「…お兄ちゃん、君のお母さん救える方法が分かるかもしれないしヒラカタカヅラの場所もすぐ分かるかも!!!」

するとその時だった…

「……」

龍士郎は気づいた…

「!!!危ない!!!」
「きゃー!!!」

そこには黒く光る、装甲を身にまとった一人の人……

「……」
「ん?」

「……ころ…す」

「!!!!!?」

とっさに、臨戦態勢に入る龍士郎…

「……離れて。」


その頃…獣神神社

「茜ちゃん!」
「信さん?!どうしたんですか……そんなに息切らして」

「今……御殿山神社の境内に行ったら……龍士郎くんが……」

「龍が?!」

その頃…

「お兄ちゃん、しっかりして!」
「だ……大丈夫や、それよりケガはない?」

「うん……」

そこへ茜が到着する。

「龍!」
「ね……姉ちゃん?!」

茜が到着した頃には決着がついていた

「あんた、何なん?そのケガ……説明して!」

「実は……」

龍士郎はすべてを、茜に話した。

「そう、ヒラカタカヅラを……ところで、あなたの名前は?」

「逢坂さくら……」

「さくらちゃんか…えらいね、こんな遠くまで」

頷くさくら…この時、二人はまださくらの持つ不思議な力に気づいてはいなかった。

「姉ちゃん…とりあえず、獣神神社に戻ろう。」

「龍のケガの手当もしないとだからね!」

「俺は大丈夫や……ただ、さくらちゃんが…」

「龍、あんたに話がある。」
「なんや?」

「とりあえず、獣神神社戻ろうそれからや話は。」

3人は獣神神社に戻ることにした。

「龍士郎くん!!!」

数分後、獣神神社に戻って最初に話しかけてきたのは、龍士郎のことを茜に伝えた水無月信だった。

「信さん……痛いって……ちょっと」
「すまん、無事で安心してもうて」

「龍、私にあんたのことを伝えてくれたんは信さんなんやで?信さんが伝えにこうへんかったら、あんた今頃……」

茜が心配そうに龍士郎を見つめて言った。

「俺は、さくらちゃんの力になってあげたいんや!!!」

「力になりたいんはわかるけど、あんたのそのケガじゃなんともならん…それにあんたはすぐ無茶をする、ヒラカタカヅラは獣神伝説に出てくる伝説の花やし言いたくはないけど見つかるかどうか…」

龍士郎は

「見つからんかどうかやない、探すか探さへんかなんや!今、こうしてる間にもさくらちゃんのお母さんは……」

その次を言おうとした、しかし茜がそれを止めた

「あんた、これは普通の人助けとは訳が違う!」

「姉ちゃん?」

「……龍、ヒラカタカヅラの説明を」
「えっ?!はい!」

茜に促され説明に入る

「ヒラカタカヅラは古来、枚方市がまだ河内国として位置していた頃、人々を火傷・煙害・凍傷から救ったとされる伝説の花なんだ…その花は、この獣神神社でお祀りしている獣神様の力の一部として大きな力を発揮していたそうだ。あ!後、妖魔・怪魔を退ける力も併せ持ってた花なんだ。」


龍士郎の説明に、皆が納得した。

「そうだ、姉ちゃん…獣神伝説の古文書持ってきてくれへん?」

「ええよ」

数分後。

「獣神伝説にはこんな一節がある……」

【光、人の声に共鳴したりて一人の青年と一つになり怪魔を退ける。】

「妖魔と怪魔が封印されているのが、あの神社の近くの祠、だとするとあの黒い装甲を身にまとった奴は、妖魔の輩と考えてもいい…どこの祠の…」

「龍?」

「そういうことか!…姉ちゃんの言う通り、これは普通の人助けとは違う。…」

その時だった、一筋の光が龍士郎の持つお守りに降り注いだのである。

「龍士郎くん!」

「やっぱりな…姉ちゃん達は離れて。」

龍士郎は言った。

「獣神様…俺に力を貸してください!…」

その言葉に反応するか如く、その姿を変えた龍士郎…

「やっぱそうや!姉ちゃんが持たしてくれてたこのお守りは、獣神様の力が入ってた…光と声に反応して、獣神様に変化できる、煌翔の力を引き出すことの出来るお守りやったんや!」

「でもどないするん?今更、煌翔を名乗っても……」

「せやな………枚方にヒラリヨンゆう平和の鐘があるから、そっからとって…「平和の力をその身に宿し平和の力で悪を断つ!!!」枚方獣神ヒラリオン・ブレイザー!!!なんてのは?」

一番驚いていたのは、信とさくらだったのかもしれない。

「ヒラリオン…」
「ブレイザー?」

「あ!ごめんごめん、そんな驚かんでや、これでヒラカタカヅラに近づいたわけやしな!」

枚方獣神ヒラリオン・ブレイザーの誕生である。

「お兄ちゃん、きっとヒラカタカヅラを見つけてさくらちゃんのお母さんを助けたるさかい、信さんに姉ちゃん…さくらちゃんも応援頼むで!」

とは言うものの、龍士郎には不安が残っていた。


【枚方獣神ヒラリオン・ブレイザーpixiv】